ペルーの体験型観光スポット7選

ペルーにおける文化の多様性は、この国に理想的な体験型観光スポットを生み出しています。ペルーには、文化的融合により育まれてきた先祖代々の伝統や習慣がいまも残る地域が多数あり、それらはホスピタリティあふれる住民の献身的な努力で守られています。これらの場所への興味は、内外の観光客にとって特に強い旅行の動機となるでしょう。

国際的に有名な複数の旅行・観光情報誌が、優れた体験型観光を提供する国のひとつとしてペルーを強調し、「今年訪れたい観光地」のような年次セレクションにもリストアップしています。それでは、理想的な体験型観光に向けた7か所の観光地をご紹介しましょう。

Valle Sagrado del Cusco(クスコの聖なる谷)

内外で最もよく知られているペルーの体験型観光スポット。観光客を魅了する聖なる谷は、祖先の伝統文化を受け継ぐチンチェーロやオリャンタイタンボ、オロペサのような数々の農村をその美しい景色の中に宿し、思い出に残る最高の旅を演出してくれます。

クスコ市街から北東に67km、車で約1時間半の場所にあるオリャンタイタンボは、インカの街並みが昔のまま残るペルーで唯一の村です。インカ時代、スペイン植民地時代、そして現代の建築様式が混在するこの村の散歩は、まるで博物館を巡るよう。村外れには、ビルカノタ川の流れを抱く聖なる谷が広がっています。

軍事的要衝かつ宗教的施設として機能していた印象的なオリャンタイタンボ遺跡を訪ねた後は、オリャンタイタンボ集落アンデス技術・文化センターを見学します。ここでは、独自の技を保ち続ける地元の匠たちの手による工芸品が展示されています。

チンチェーロはクスコ市街から北東に29.3km、車で約50分の位置にある村。インカ時代からの風習が今も残る集落を訪ね、織物や農作業などのアクティビティに参加することで、村人の持つ技術に触れ、匠の技を知ることができます。

キスピカンチ郡でも主要な村々のひとつであるオロペサへは、クスコ市街から南東へわずか22km。「ペルーのパンの首都」として知られるこの村では、住民の85%に相当する3000人以上の住人が滋味豊かなパン作りに関わっています。その秘訣は、クスコ州にそびえる霊峰のひとつ、パチャトゥサン由来の天然水にあります。

パンの聖地オロペサでは地元産の様々なパンが味わえ、パン作りの過程を見学したり、職人と会話しながら大きなパンの由来やパン作りの秘密を聞くことができます。また、オロペサのパンは昔からお土産としても有名です。

Callejón de Huaylas(カジェホン・デ・ワイラス)

カジェホン・デ・ワイラス(ワイラス渓谷)もまた、理想的な体験型観光スポットのひとつです。アンカシュ州に位置するこの渓谷は、コルデジェーラ・ネグラ(黒い山脈)とコルデジェーラ・ブランカ(白い山脈)に挟まれた、長さ180kmにおよぶ風光明媚なアンデスの渓谷地帯。旅行者に優しく、今も祖先の風習や伝統が息づく集落が点在する地域です。

アンカシュ州の州都ワラスからは車で約1時間半の距離。複数の雪渓やターコイズブルーの湖、花に囲まれた田園風景など、旅行者の想像を超える自然の光景が果てしなく広がっています。

カラスやユンガイの村では、一帯の集落で営まれている織物を始め、リャマやアルパカの世話、農耕などの伝統的な作業を見学することができ、おいしい郷土料理も味わえます。

Lago Titicaca(ティティカカ湖)

インカ帝国の始祖、マンコ・カパックとママ・オクーリョが降臨したという神話にも登場する湖で、優れた体験型観光スポットのひとつ。トトラ葦(ティティカカ湖畔に自生する植物)で造られた浮島に暮らすアイマラ民族ウロス(ウロ族)の集落が特に有名です。

色鮮やかな民族衣装に身を包んだウロスの人々が、旅行者を満面の笑みとアイマラ語の挨拶「カミサラキ(お元気ですか?)」で出迎え、伝統の技やトトラを使った船の作り方などを披露してくれます。また、トトラ船への乗船や、ティティカカ湖での魚釣りを体験することも可能です。

さらに、浮島に泊まっておいしい郷土料理を食べ、ウロスの習慣を満喫することもできるようになっています。

Ruta de la Papa en Ayacucho(アヤクチョのじゃがいもルート)

体験型の観光と農作業を上手く組み合わせた優れた試みのひとつが、アヤクチョ地方のじゃがいもルートです。主役のじゃがいもを始め、オユコやマシュア、オカといった栄養価が高く文化的価値のあるその他のアンデス塊茎類について学び、知識を深めることができます。

このじゃがいもルートは、ペルー原産のじゃがいもに関する知識をアヤクチョを訪れる観光客にも知ってもらう必要がると判断した複数の農業従事者で構成する「ペルーアンデスじゃがいも協同組合」の発案によるもので、アヤクチョにおけるじゃがいもの播種と成長に新たな観光の可能性が見出されました。

この共同体はじゃがいもの輸出にも成功しており、仕向先が14か国におよぶじゃがいもを見に原産地を訪れる外国人や、国内の顧客の訪問も恒常的に受け入れるようになりました。ただ近くに宿泊施設がないので、訪問者に対しその都度共同体の作業センターを宿泊所として提供できるよう準備しておく必要がありました。農業を取り入れた観光ルートのことを耳にした地元の人々は、顧客に対する自らの案内業務が観光の可能性を秘めているに違いないと気付いたのです。

このじゃがいもルートはアヤクチョ市街から南へ50km、車で45分のコンドルコチャ地区にある協同組合の農地の中を通っていて、播種から収穫後の郷土料理に至るまで、内外の観光客がジャガイモの原産地について見学できるようになっています。また、ジャガイモやオカ、マシュア、オユコの野生種を見に山間部を訪ねるオプショナルツアーも用意されています。

このじゃがいもルートは、ワマンガとカンガーヨ両郡の間、標高3000m~3800mのエリアで育つ塊茎類在来種の有機栽培について、農産体験型の観光を提案するものです。

Bosque de las Nuwas en San Martín(サンマルティンのヌワスの森)

ヌワスの森は、ペルーアマゾンの先住民族アワフンの女性たちにより、サンマルティン州の先住民集落シャンプヤクの伝統知識復興に向け誕生した試みです。

「ヌワス」とはアワフン族の言葉で女性を意味します。この試みは、同州のリオハ郡を流れるマヨ川の上流部約9ヘクタールをテリトリーとする先住民コミュニティ、シャンプヤクの祖先の習慣の振興などを目的とするものです。

このようにして、ヌワスの森のプロジェクトにはアルト・マヨ地区に暮らすアワフン族のうち75家族が参画し、女性の役割の再評価につながっています。

この興味深いツアーでは、森の中で薬草の知識を学んだり、民族舞踊や工芸、食文化を通じて生き生きとしたアマゾンの文化に触れることが出来ます。

Valle del Colca(コルカ渓谷)

雄大なコルカ渓谷を擁すアレキパ州カイリョーマ郡。同郡のカリャリやトゥティ、コポラケは、体験型の観光には理想的な場所です。

チバイの街やコンドルの見学ポイントを巡る通常のツアーとは異なり、このルートではアルパカの飼育で有名なカリャリの集落を訪ね、繊細なアルパカ繊維を使った見事な工芸品に触れることが出来ます。

トゥティでは世界最大の流域面積を誇るアマゾン川の源流がある雪峰ミスミを訪ね、集落の農家と交流します。コポラケでは、ジャガイモやマシュア、オユコといったアンデス高地の塊茎類の伝統農法について学びます。

Nor Yauyos Cochas(ノル・ヤウヨス・コチャス)

カネェテ川ならびにパチャカヨ川両河川上流一帯の保護に向け2001年に設立されたこの自然保護区の内部には、タンタやミラフローレス、ビティス、ワンカヤ、アリス、ララオス、トマス、カラニアなどの集落があります。ヤウヨ郡に属すこれらの集落では、祖先の習慣や伝統に触れたり、美しく壮観なアンデス高地の風景を眺めながら、いつまでも思い出に残る体験型観光を楽しむことができるでしょう。

ララオスでの主な見どころは、1000m以上の奥行きがあるプレインカ時代の棚田です。伝統農業に携わる集落の人々から、チャキタクリャ(古代から利用され続けている、畑を耕す道具)の使い方を学びます。

また、地元住民の糧となる様々な農作物を知り、ペルー定番の郷土料理「パチャマンカ」を一緒に作って、おいしく味わうことが出来ます。

タンタでは、正規のアルパカ監視官としてノル・ヤウヨス・コチャス景観保護地区でアルパカの保護に貢献する女性たちのグループを訪ね、社会環境の保全に向けたサスティナブルな取り組みを見学することができます。

この女性たちは、アルパカの毛刈りや選別、紡績に関する先祖代々の知識の継承者であり、その知識を用いてセーターやマフラー、手袋を始めとする様々な衣類の編みや刺繍を熟練の技でこなし、安価な現地価格で販売しています。

これらの集落はコミュニティ保全活動の重要なパートナーであり、保全に関する協定を通じて、集落の商品に付加価値を与えつつ活動できるという側面があります。

(ソース: Andina)