Jamón del País y Butifarra ハモン・デル・パイスとブティファラ

“国家のハム” という大仰な名前を持つJamón del País(ハモン・デル・パイス)。そのハモン・デル・パイスをスライスして、サンドイッチにしたのがかの有名なButifarra(ブティファラ)です。ペルー人に人気のサンドウィッチ5選にも選ばれるブティファラは、特にリマっ子に人気。リマのおしゃれなカフェなら必ずといっていいほどメニューにある、定番サンドイッチです。

ブティファラの歴史的な話に興味のある方は、以前ご紹介したこちらの記事をご覧ください。「でも、ソーセージとハムって別モノじゃない?」というツッコミはさておき、旧大陸の加工肉食文化が新大陸で花開いたということには間違いありません。

日本でもすっかりお馴染みのパン・コン・チチャロンはどちらかというと男性的ですが、ブティファラは中性的。パリパリのパン・フランセスに厚めに切ったハモン・デル・パイスを挟んで、アヒ・リモを多めに入れたサルサ・クリオージャを挟めば、ビールやチルカニートにぴったりのワイルドなサンドイッチになるし、少し柔らかめのパンにシャキシャキレタスをたっぷり添え、薄くスライスしたハモン・デル・パイスを挟めば、気の置けない女友達との午後のお茶の時間にあう優しい味わいに。う~ん、どちらも捨てがたい~。

巷で時折話題に上る加工肉の塩分や添加物についても、自家製ならまったく心配なし。たっぷり挟んでも罪悪感がないっていいですよね。準備に時間はかかるけれど、その価値は十分あると思います。

【材料】作りやすい量

  • 豚もも塊肉、またはボンディオラ(肩ロース) 1㎏
  • ソミュール液(水:塩:砂糖=100:10:5)

レジェーノ

  • アヒ・パンカペースト 大1
  • すりおろしニンニク 大1
  • クミン 大1
  • クルクマ(ターメリック) 大1
  • オレガノ(粉) 小1
  • 塩コショウ 各小1
  • ワイン・ビネガー 大2

香味野菜

  • タマネギ 1個
  • ニンジン 1本
  • セロリ 1本
  • ポロネギ 1/2本
  • にんにく 3片
  • ローリエ 1枚
  • イエルバブエナ(スペアミント) 2本
  • 粒コショウ 8~10粒
  • その他お好みのハーブ 適量

アチョーテオイル

  • サラダオイル 大2
  • アチョーテの実 大1、または粉 小1

【作り方】

1、豚肉の表面の余分な脂を削ぎ落とす。あとでチャーシューのように丸めることをイメージしながら、豚肉を軽く切り開いておく。ただしあまり薄くなりすぎないように。

2、1の豚肉を大きめのボウルかビニール袋に入れ、水:塩:砂糖=100:10:5(水1リットルの場合、塩100g、砂糖50g)になるように作ったソミュール液に漬け込み、冷蔵庫に一晩~24時間ほど保存する。肉がソミュール液に完全に浸かるように気をつけよう。(私はビニール袋に豚肉と水300ml+塩30g+砂糖15gを入れ、袋の空気を完全に抜いて保存しています)

3、レジェーノを作る。容器にレジェーノの材料をすべて入れ、よく混ぜ合わせる。

4、2の豚肉の水分をよく拭きとり、全体にレジェーノを塗る。ラップをして冷蔵庫で3~4時間寝かせる。

5、4の豚肉を丸め、紐をかけながらチャーシューの要領で形よくまとめる。

6、鍋に水1リットルと塩大2(分量外)、ぶつ切りにした香味野菜やハーブ、余ったレジェーノも入れてひと煮たちさせる。沸騰したら5の豚肉を入れて弱~中火にし、40分~1時間ほど茹でる(茹でる時間は肉の厚みによる)。温度計を使って肉の中心温度65~70度で30分を維持すると更にしっとり仕上がるが・・・そこまで気にしなくても大丈夫(ペルー人はそこまでこだわりません/笑)ただしお湯はぐらぐらと沸騰させないよう注意して。

7、豚肉に火が通ったら取り出して表面の水分をよく拭きとり、アチョーテオイル(フライパンにサラダ油とアチョーテの実(粉)を入れて低温からじっくり炒め、色を出したもの)を塗って鮮やかな色合いに仕上げる。アチョーテオイルはなくても味に支障はないが、このオレンジがかった黄色い色がハモン・デル・パイスの特徴なのであればぜひ。

8、オイルを塗った豚肉をラップ、またはアルミホイルで包み、自然に冷めるまで待つ。これでハモン・デル・パイスのできあがり。

【ブティファラの作り方】パン・フランセスを横半分にカットして軽くトーストし、マヨネーズとマスタードを混ぜたものを塗る。好みの厚さにスライスしたハモン・デル・パイスを数枚重ね、サルサ・クリオージャをたっぷり挟んでできあがり。(私にはちょうどいい塩加減ですが、ハムを挟むときに岩塩などをパラパラっと振ってもいいかも?)

bondiola(ボンディオラ)で作ると、適度な脂があってロースハム的な仕上がりに。

【Keikoからひとこと】

時間はかかるけれど、それだけの価値のある手作りハム。安いし無添加だし、なんといっても美味しいし!しかもこれだけ塩を使っていても、全然しょっぱくありません。市販のハムにがいかに塩分が多いのかを実感するばかりです。

あまり大きい豚肉だと火の通り具合いが分かりにくいし、市販のものより日持ちしないので、やはり1㎏前後の塊が一番扱いやすいと思います。パンに挟む量にもよりますが、これでブティファラ6~7つくらいできるので参考にしてくださいね。

私は豚肉を茹でた煮汁&野菜をミキサーにかけ、トロトロにしたのもをアクを取りながら適当に煮詰め、スープの素にしています。そのままではもちろん塩分が濃すぎますが、お湯で薄めるだけでほんのりカレー風味の美味しいスープになるのでオススメ!これだけ野菜をたっぷり入れるのだから、捨てるなんてもったいない~。

豚もも肉だとしっとり上品に、ボンディオラ(肩ロース)だとちょっとワイルドな仕上がりに。レジェーノをどれくらい挟むかでも出来上がりは随分違ってくるので、お好きなスタイルを探してください。