クールでシンプルなカクテル「チルカーノ」とその歴史

この夏は、ピスコ酒とジンジャエールのコンビネーションが素晴らしいペルーの国民的カクテルで乾杯しましょう。

ピスコを楽しむにあたり、最良の方法とは何でしょうか?これについては人それぞれで、上質なスピリッツの味と香りを余すところなく味わうためストレートを好む人もいますし、濃厚な風味とコクのあるピスコサワーに生涯こだわる人もいます。一方、夏の定番と言えば、香りがよくさわやかで美味しい「チルカーノ」でしょう。

ピスコをジンジャエールで割るこのクラシックなコンビネーションの起源は、1930年代まで遡ります。チルカーノ週間を創設したジャーナリストのエマ・カデーナスによると、このカクテルはバーやレストランではなく家庭で考案されたもので、家族との昼食や晴れた日の午後にぴったりなデイリーカクテルとして親しまれていたといいます。

当時のイタリア移民の家庭では、グラッパ(イタリア産のブドウの蒸留酒)とジンジャエールを混ぜた「ボンジョルノ(おはよう)」という名前のカクテルが作られていました。これが現在のチルカーノの起源と考えられており、彼らの子孫であるイタリア系ペルー人の多くは、祖父母がこのカクテルを飲んでいたことを覚えています。

ピスコとグラッパには、互いにブドウの蒸留酒という共通点があります。このカクテルは瞬く間に人気を呼び、やがてグラッパの代わりにピスコが使われるようになると、作り方が単純で美味しいという理由からファンが増え、全国に広まっていきました。こうして生まれたのがペルーを代表するカクテル「チルカーノ」です。

チルカーノという名前の由来に関しては、興味深い話があります。ペルー北部の海岸では、魚の頭部をベースにレモンで味付けしたスープを作る習慣がありますが、強壮剤としての効果と濃厚な味が特徴のこのスープにあやかり、同様の効能を自負するこのカクテルにも、スープと同じ「チルカーノ」の名を冠したというものです。

チルカーノは長い年月をかけ、少しづつ全国のレストランやバーのメニューに登場するようになりました。今ではピスコサワーと並び、世界中で愛されるスピリッツベースのカクテルのひとつに数えられています。

チルカーノを作ってみよう

チルカーノにはあらゆる種類のマセラシオン※が用いられ、数え切れないほどのバリエーションがあります。ペルーのバーでは、アグアイマント(食用ほうずき)や生姜、キャッツクロー、マラクヤ(パッションフルーツ)、シナモン、コカ、レモンバーベナを始め、数多くのチルカーノを味わうことができます。この国の生物多様性はバーテンダーの創造性を高め、無数の新たな味と香りを生み出すことを可能にしているのです。

しかしながら、ベースとなるレシピは次のたったひとつだけ。

  • ピスコ(プーロ)2オンス
  • レモン 1切れ
  • アンゴストゥーラビターズ 3滴
  • ジンジャエール 4オンス

(ペルー生産省によるチルカーノ公式レシピはこちら

もともとのチルカーノには、レモン(日本ではメキシカンライム)の果汁もガムシロップも加えません。ご家庭でこの国民的カクテルを手に、ひと夏を楽しんでください。ペルーの誇りに乾杯!

(ソース: Promperú 12/01/22)

※ここではフルーツやスパイスなどを漬け込んだピスコの意味。