ボケの恐怖と盗聴疑惑 その2

しばらくして、義母から携帯メールが送られてきた。「11月12日です。歯医者さんに出かけます。ごめんなさい」えー、今日は12月16日でそっちは17日だよー、でもメールは打てるんだな・・・

その後、叔母からもメールが来た。「連絡したよ。今、歯医者に行く途中で駅にいるんだって。お元気でしたよ」本当ですか?それって徘徊じゃないですよね?まったく信用できず、すっかり疑心暗鬼の私。

他の親戚も電話してくれたようで、「とりあえず大丈夫そう」という話になった。今回は無事だとしても、これが何かの始まりかもしれない。そう考えると憂鬱だ。親の介護で一時的な帰国はやむを得ないと思っているけれど、「突然」だけはやめて欲しい。

そんな話を旦那としているうちに、1時間が経過。役場の住民福祉課にもう一度電話した。

(係)「××役場です」
(私)「もしもし、住民福祉課の〇〇さんはいらっしゃいますか?先ほどお電話した原田ですが・・・」
(係)「〇〇はあいにく出かけておりまして・・・」
(私)「〇〇さん以外で分かる人はいませんか?」
(係)「担当におつなぎします」
(男)「はい、住民福祉課の〇〇です」(あれ?同じ名字?)
(男)「あー、先ほどのお義母さんの件ですよね・・・(保留音)」
おーい!なんでここで保留にするんだよー!

(係)「××役場です」
がーん、最悪!また代表電話に戻ったじゃない!
(私)「あのっ!今会話の途中で保留になってしまったんですけどっ!住民福祉課の〇〇さんをお願いします!」
(係)「〇〇はあいにく出かけておりまして・・・」
(私)「男性の〇〇さんがいましたよ」
(係)「担当におつなぎします」
(男)「はい、住民福祉課の〇〇です」
(男)「あー、先ほどのお義母さんの件ですよね・・・(保留音)」

え?また保留音?

(係)「××役場です」

なんでまた同じ会話が始まるの?これって無限ループ?異世界にでも迷い込んだ?もしかして私、死んでる???

怖くなって電話を切った。そばでずっと会話を聞いていた旦那に、「私の頭がおかしいの?」と聞いてみたが、おかしくないという。何が起こったかまったく理解できなかったが、しばらく心を落ち着けて、恐る恐るもう一度役場に電話してみた。頼むよ、今度こそ普通に会話してくれ・・・

・・・大丈夫だった。

何事もなかったかのように代表が出て、担当に回されて、男性の〇〇さんが義母の様子を伝えてくれた。「今後何かあったら地域包括支援センターへお電話くださいね」みたいな、とっても親切な対応。キツネにでもつままれていたのだろうか。あの電話は一体何だったのだろう。

訳がわからずやけ酒の私に、しばらく何かを検索していた旦那が、「これかもしれない」とあるサイトを教えてくれた。私に起こった事象とまったく同じ。そうか、そういうことなのか!?

ペルーは歴代大統領と大統領候補、その取り巻きたちが次々と贈収賄で逮捕されている。証拠は司法取引に応じた関係者の証言と盗聴記録だ。フジモリ元大統領時代から盗聴はお家芸だが、それは今も変わらない。恐らくこの国では、普段から誰彼構わずあらゆる会話を録音しているのだろう。それをバレないようにするのがプロだが、そこはペルー。録音したテープを、誤ってその場で再生しちゃったのかもしれない。いや、そんなバカがいるか?でもここはペルーだ!

もちろん証拠はないけれど、絶対違うとも言い切れない。緊張感のある素敵な日常。この国ではクレジットカード番号や口座番号、金の受渡日なんかを電話で話しては絶対いけない。

心底ぐったりな私に、「ペルーって親切だよね。『ただいま絶賛盗聴中!』って教えてくれてるようなもんだもんね」と旦那。は、は、は。笑うに笑えない夜でした。

※翌日もう一度義母に電話したらいつも通りだった。義母曰く、私の電話は途中で切れてしまったらしい。歯医者の予約があったのでそのまま外出し、駅からメールを送ったそうだ。11月12日は私あてのハガキの到着消印の日とか。頼むからもう少し説明を加えてください。