Asado de Res con Puré  アサード・デ・レス・コン・プレ

Asado(アサード)とはスペイン語で “バーベキュー”、すなわち炭火焼きのこと。肉好きの方なら、アルゼンチンやウルグアイで食べられるあのアサードを思い浮かべることでしょう。

ところがペルーでAsado de Res(牛肉のアサード)というと、多くの場合、牛もも肉の煮込み料理を指すんですよ。同じスペイン語なのに面白いですね。

アサード・デ・レスに使用するのは、決まってasado de pejerrey(アサード・デ・ペヘレイ)と呼ばれる部位。牛の外もも~尻にかけての赤身肉で、英語でいうとEye of Round(アイラウンド)に当たります。ローストビーフに適した脂肪の少ない赤身で、そのままではちょっと固いけれど、長く煮込むとスプーンで崩せるくらい柔らかくなります。

スペインやフランス、イタリアでは、野菜を炒めた香味ベース(ソフリート、ミルポワなど)や、それにワインを加えて肉や魚を煮込む調理法は一般的。恐らくこうした旧大陸の伝統料理にアヒ・パンカが加わって、アサード・デ・レスというペルー料理が誕生したんでしょうね。

調理時間はかかるけれど、大量に作っても手間は同じ。しかも作り置きが可能なのでパーティーにもぴったりです。「誕生日の料理はいつもママのアサードだった」なんていうペルー人も少なくないのでは?家族の集いに好んで作られるアサード・デ・レスは、ペルーにおけるハレの日の料理の代名詞です。

【材料】作りやすい分量(3~4人分)

  • アサード・デ・ペヘレイ、または牛もも肉 1㎏
  • タマネギ 1個
  • ニンジン 大1本
  • トマト 2個
  • パプリカ 1個
  • セロリ 1本
  • ポロネギ 1/2本
  • ニンニク 2片
  • アヒ・パンカペースト 大1
  • トマトペースト 大1
  • 赤ワイン 1カップ
  • ワインビネガー 大1
  • カルド・デ・レス(ビーフブイヨン)または水 適量
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ、タイム、ローレルなどのハーブ(またはブーケガルニ)、バター 適量
  • 付け合わせ:ジャガイモのピューレ

【作り方】

1、牛肉を冷蔵庫から出して室温に戻しておく。野菜はすべて2~3cmのざく切りにしておく(あとでミキサーにかけるので適当でよし)。

2、深めのフライパンか鍋に油とバターを加えて熱し、表面に塩を振った牛肉を入れ、全体を香ばしく焼き付け、いったん取り出しておく。肉が大きくて鍋に入らないようなら2つにカットしてもいいが、煮込む間に肉が縮むのでその辺りを考慮して。

3、2の鍋に1の野菜を順次入れ、塩を少々加え、鍋底についた肉のうま味をこそげとるようにしながら全体をよく炒める。野菜がしんなりしてきたらアヒ・パンカペーストとトマトペースト、クミンやオレガノ、タイム、ローレルなどのハーブ類を加えながら、その都度よく炒める。そこに赤ワインとワインビネガーを入れてひと煮たちさせ、アルコール分を飛ばす。

4、3の鍋に2の肉を戻し、肉の高さの半分~3/2くらいまでカルド(または水)を入れ、塩コショウを少し足してから蓋をし、中火~弱火で肉が柔らかくなるまでじっくり煮込む。肉の厚みによるが普通の鍋なら2時間、圧力鍋なら45分ほど。鍋の場合は水分が蒸発して焦げ付かないよう時々チェックし、必要に応じてカルドを足すこと。ついでに肉の上下もひっくり返しておこう。

5、肉が十分柔らかくなったら取り出して粗熱を取り、食べやすい大きさにスライスする。

6、アサードのサルサは2パターン。さっぱり仕上げたい場合:鍋に残ったソースをザルで漉し、塩コショウで味を調えながらソースを好みの濃度になるまで軽く煮詰める(トップ画像)。濃厚に仕上げたい場合:鍋に残ったソースをミキサー、またはブレンダーにかけ、野菜をピューレ状にする。塩コショウで味を調えながら、ソースを好みの濃度になるまで軽く煮詰める(もし水分が少な過ぎたら水を加えて調整する)。

7、6のソースにスライスした肉を戻して軽く温めなおし、ご飯とプレ・デ・パパ(ジャガイモのピューレ)を添えて召し上がれ。

【Keikoからひとこと】

アサード・デ・ペヘレイに限らず、脂肪分の少ない赤身肉ならどこを使用していただいても大丈夫。ただあまり煮込みすぎると、カットした時に肉の繊維がボロボロに崩れて見た目がイマイチになるので、おもてなし料理として調理する場合はご注意ください(家庭で食べる分には崩れてても問題ないですけどね~)。

付け合わせはぜひプレ・デ・パパ(ジャガイモのピューレ)で!濃厚なソースと滑らかなプレが肉に絡んで最高の美味しさ。この時ばかりはカロリー度外視で、バター多めのプレをご準備くださいね。

そしてもし残ったら冷凍してもいいですが、パンに挟んで「Pan con Asado(パン・コン・アサード)」にするのもオススメです。レタスやオニオンスライス、アボカドなど、お好きな野菜を挟んでお召し上がりください。ソースの水分が多い場合は、水に溶いたコーンスターチ(または片栗粉)を加えて一度加熱し、ソースをトロッとさせておくとよりベターです。