Olluquito オユキート

Olluco(オユコ)という野菜をご存知ですか?アンデス地方原産のツルムラサキ科の根菜で、ペルーでは約5500年も前から栽培されてきました。このオユコとアルパカ(またはリャマ)の干し肉 Charqui(チャルキ)をアヒとともに炒めたのが Olluquito(オユキート)。ペルーでもっとも古い料理のひとつと言われています。

¡新食材! 】olluco(オユコ)について

黄色~黄色+ピンク色の斑点付きが特徴のオユコ。ペルーには70種類以上があり、もっと赤いのや緑がかったものもあるそう。

オユコはペルーを始め、北はコロンビアから南はチリやアルゼンチン北部まで広く普及しており、“ウルコ” や “パパ・リサ” などさまざまな呼び名があります。細長いタイプと丸いタイプがあり、2cm程度から大きなものでは15cmくらいに成長するそう。カットしてみるとわずかにねっとりしているのがツルムラサキ科らしさでしょうか。葉や茎も食べれられますが、残念ながらリマでは塊根部しかお目にかかれません。

炭水化物が多いもののジャガイモよりカロリーは低く、カリウムやリン、鉄などのミネラル類とビタミンA、B、C類が豊富。ビーツにも含まれるという抗酸化物質ベタレインの働きにより、抗がん作用もあるそうです。日本でもカット処理された冷凍オユコが売られているくらい、在日ラティーノスには欠かせない故郷の味なんですね。

¡新食材! 】charqui(チャルキ=ジャーキー)について

アルパカのチャルキ。リャマのチャルキはもう少し黒っぽいそう。

ケチュア語で “乾燥塩漬け肉” をさすcharqui(チャルキ)は、皆さん存知のビーフ “ジャーキー” の語源にもなっているアンデスの保存食。薄くスライスした生肉に塩をたっぷり振って天日で干したもので、貴重な蛋白源をいかに長期間保存させるかといういにしえの人々の知恵の結晶です。

アルパカやリャマの肉は高タンパク低脂質、低コレステロールという理想的な赤身肉。鶏肉に含まれるコレステロールは80~88㎎、牛肉では90~100㎎ですが、アルパカやリャマはわずか30~40㎎しか含まれていません。また鉄分も多いので、貧血気味の人にも最適です。

チャルキには、ジビエ好きな方にはたまらないわずかな獣臭があります。メルカドのおばちゃん曰く、「一晩水に浸けて戻すだけでいいけど、もし臭いが気になるならフライパンで乾煎りしてから水に戻すといいよ」とのこと。私は間違って先に水に浸けてしまいその後から乾煎りしましたが、それでもだいぶ臭いは消えました。ちなみに水で戻すと乾燥時の約1.5倍の重さになるのでご参考ください。

パパ・アマリージャ入りのOlluquito con Charqui(チャルキ入りオユキート)。チャルキの塩分があるので、塩は控えめに。

日本でチャルキの入手は難しいので、今回は牛肉と一緒に炒めるOlluquito con Carne(オユキート・コン・カルネ)をご紹介。鶏肉や豚肉でも美味しいので、冷蔵庫にあるものをお使いください。

【材料】 2人分

  • オユコ 350~400g
  • 牛肉(赤身/豚もも肉や鶏むね肉でもいい) 200g
  • タマネギのみじん切り 1/2個
  • すりおろしニンニク 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大1
  • アヒ・パンカペースト 大1
  • トマト 1/2個
  • ペレヒル(イタリアンパセリ) 適量
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • オプション:カルド・デ・ポヨ(チキンブイヨン)またはカルド・デ・レス(ビーフブイヨン)、ジャガイモ

【作り方】

1、オユコを細長くカットする。断面は少々ぬるっとしているが、アクではないので洗わないこと。牛肉もオユコに合わせて細長くカット、トマトは皮と種を取り除き、みじん切りにしておく。

2、アデレソを作る。鍋に油を敷き、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩ひとつまみを加えてよく炒め、タマネギが透き通ってきたらニンニクを入れて炒める。アヒ・アマリージョペースト、アヒ・パンカペーストを加えてさらに炒め、カットしたトマトを加える。塩コショウ、クミン、オレガノを加えたらアデレソのできあがり。

3、2のアデレソにカットした牛肉を加えて炒め、蓋をしてしばらく煮込む。

4、牛肉から水分が出てきたらオユコと塩少々を加え、よく混ぜ合わせて蓋をして煮込む。オユコから水分が出てくるので焦げ付くことはないと思うが、時々様子を見ながらかき混ぜて。またジューシーに仕上げたい人は、カルドか水を50~100mlほど加えてもいい。

5、牛肉とオユコに火が通ったら塩コショウで味を調え、刻んだイタリアンパセリを加えてできあがり。ご飯を添えて頂こう。

【Keikoからひとこと】

煮込んでも煮崩れしないオユコ。つるっとした舌触りとほどよいシャキシャキ感は、ジャガイモにはない魅力です。そのせいでしょうか、オユキートは単調な料理の割に飽きることなく、最後まで美味しく頂けます。

ペルーのメルカドにはカット済みのオユコが売られています。また大量に欲しい時は、その場でもカットしてくれるほど身近な食材。ただカット後のオユコは洗わないほうがいいので、私は必ず塊根のまま買うようにしています。だってメルカドのおばちゃんって手を洗わないんだもん(苦笑)。

「オユキートだけだとちょっと単調かな」という時は、目玉焼きを添えれば食べ応えもアップ!栄養満点でちゃちゃっとできるオユキート、ペルーらしさ満載の一品です。