新テレワーク法概説 労働者の権利や使用者の義務

9月11日に官報上でテレワーク法(法令第31512号)が公布され、同法の適用範囲につき雇用者や使用者の間で関心が高まっている。

同法の目的は、まず第一に、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)ならびに個人・家庭・仕事の生活上のバランス、これらの枠組みにおいて、行政機関や民間企業のテレワークを規制することである。

テレワークとは、定期的または習慣的に行われる、特殊な形式の労働サービスのことである。労働者または公務員が、その労働関係を維持する職場に出勤することなく、デジタルプラットフォームやデジタル技術を用いて、従属的な業務を履行することをその特徴とする。

テレワークの特徴

:9月11日に公布された法令によるテレワークの特徴は次のとおり。

  • 自主的かつ可逆的であること。
  • 一時的または恒久的な形であること。
  • 全面的または部分的な形であること。
  • 勤務時間を柔軟に配分できること。
  • ペルー国内または国外で実施されること。

同令では、テレワーク形態で業務を行う労働者または公務員のことを“テレワーカー”と定義している。

テレワークの展開にあたり、使用者はテレワーカーのプライバシーを尊重し、その手配や調整、管理、監督のために必要な手段や設備を確立する。

テレワーカーの権利と義務

同令では、テレワーカーが有す権利および義務につき次のように定めている。

  • テレワーカーは、本人が所属する労働体系に基き、出勤して働く労働者や公務員に対して定められた権利と同等の権利を有す。
  • テレワーカーは、インターネット接続サービスや機器、またはそれらの提供や電力消費に対する金銭的な対価を受け取らなければならない。
  • テレワーカーは、デジタル的な接続を切断する権利を有す。
  • テレワークの特質に鑑み、テレワーカーの私的な通信および文書の秘匿性、プライバシー、不可侵性は尊重されなけれなならない。
  • テレワークにおいて順守すべき安全衛生上の措置や条件、対策について通知されなければならない。
  • テレワーカーは、本人が所属する労働体系に基き、出勤して働く労働者や公務員に対して定められた義務と同等の義務を負う。
  • テレワークは個人で行い、第三者により代行されない。
  • テレワーカーは、使用者から任された仕事を勤務時間内に納品・報告しなければならない。
  • テレワーカーは、使用者がテレワークの発展のために発するすべての規定を順守しなけれなならない。
  • また、安全衛生上の措置や条件、対策および、デジタルセキュリティやデータの保護ならびに機密保持に関する現行規則を順守すると共に、業務にあたり使用者が提供する情報を秘匿しなければならない。
  • テレワーカーは、勤務時間内において必要に応じた調整を行うことができるものとする。
  • テレワーカーは、使用者から供与された財を大切に扱い、それらをテレワークのために使用し、雇用関係外の第三者に扱わせてはならない。
  • テレワーカーは、使用者が用意する教育訓練プログラムに参加しなければならない。

使用者の義務

テレワーク法による使用者の義務は次のとおり。

  • 使用者は、それぞれのテレワーカーが所属する労働体系に基き、出勤して働く労働者や公務員に対して定められた義務と同等の義務を負う。
  • 使用者は、労働者または公務員またはテレワーカーに対し、テレワークまたは出勤形式による労働サービス形態の変更に同意する意志を、記録として残すことが可能なあらゆる物理的またはデジタル的手段を通じ、正当な理由をもって適切な事前の通知により伝えなければならない。
  • 使用者は、テレワークの選択または出勤方式への復帰に向け、労働者または公務員、テレワーカーが提出する労働サービス形態の変更申請を客観的に評価しなければならない。
  • 使用者はテレワーカーに対し、機器およびインターネット接続サービスを供与するか、あるいは、テレワーカーによるそれらの提供や電力消費に対し金銭的補償を行うという条件を提示しなければならない。
  • 使用者は、テレワーカーによるデジタル的な接続を遮断する権利を有す。
  • 使用者はテレワーカーに対し、業務連絡のメカニズムおよび、テレワークにおいて勤務時間中に順守すべき安全衛生上の措置や条件、対策につき通知しなければならない。
  • 使用者はテレワーカーに対し、テレワークにおける情報アプリケーションの使用、情報セキュリティ、安全衛生についての教育訓練を実施しなければならない。

テレワーク適用の際の条件について

テレワーカーは、普段テレワークを行う単一もしくは複数の場所を自由に決定することができるが、これらの場所については労働サービス開始以前に使用者に報告されなければならない。

止むを得ない場合を除き、普段テレワークを行う場所を変更する際は、使用者に対しその旨を営業日で5日前までに伝えなければならない。

使用者および労働者または公務員は、テレワーカーの雇用、または出勤形式からテレワークへの労働サービス形態変更にあたり、少なくとも以下の点を明確にしておく必要がある。

  • テレワークの適用は全面的かあるいは部分的なものか。後者の場合は出勤形態での勤務時間を明記すること。
  • テレワーク形態が適用される期間(一時的または恒久的)。
  • テレワーカーに出勤または出張が求められ、個人的に出社が必要となる場合の最短事前通告期間。但し、不慮の事態や不可抗力により前述の期間が守れない場合はこの限りでない。
  • テレワーク形態における勤務時間の配分方法。一日の労働時間が不連続または8時間未満の場合、配分可能な日数は最大週6日までとなり、24時間のうち連続12時間以上を日毎のデジタル的切断(休息)時間として定める必要がある。
  • テレワーカーの自宅住所を労働が提供される場所と定めること。但し、両当事者が特別にその住所を単一のまたは複数の場所として合意した場合はその限りでない。
  • テレワーカーが提供する労働に関し、使用者が用いる連絡、監督、管理の仕組み。
  • 機器やインターネット接続サービスなど、労働を提供するためのデジタルプラットフォームやデジタル技術における使用者の技術的進捗に応じた適切な更新。
  • テレワーカーの機器の使用、インターネット接続サービス、電気料金などに対応する費用に対する金銭的な補償の仕組み。
  • 合意したテレワークの履行に際し第三者の利用を禁じる宣誓供述書。

監督と制裁

テレワーク法では、行政機関である国家市民サービス庁(SERVIR)が同令やその運用細則における規定の遵守を確認するための指導および監督を行うと共に、同令の展開にあたり補完条項を発出すると定めている。

民間企業では、テレワーク形式の労働サービスが行われる職場や施設、場所において、国家労働監督局(SUNAFIL)が同令およびその運用細則の規定の遵守に関する指導と監査を実施する。

同令の規則に対する違反は、軽微、重大、極めて重大の3種に区分される。

軽微な違反

  • テレワーカーに対し、テレワークの実施にあたり順守すべき安全衛生上の条件を通知しないこと。
  • テレワーカーが職場に赴いて行う、業務やその他の事項に関する相談などの行為を妨げること。

重大な違反

  • 使用者権限の行使による一方的な変更を除き、本人の同意なく通常の業務をテレワーク形態に変更すること、またはその逆の行為。
  • 機器の供与、インターネット接続サービス、労働者またはテレワーカーへの教育訓練に関する義務の不履行。
  • テレワーカーが受諾した労働条件に対する補償に係る適切な支払いの不履行。

極めて重大な違反

テレワーク法ではさらに、テレワーカーが勤務時間外にデジタル的な接続を切断する権利を尊重しない行為につき、極めて重大な違反と定めている。

同令では最後に、政府がテレワーク法の運用細則を歴日90日以内に公布しなければならないと規定している。

前述の運用細則は、労働雇用促進省により、国家公務員庁および首相府(PCM)と調整の上提案されるものとする。

(ソース: Andina 13/09/22)

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