リマ市行政区再編計画「5つのリマ」現市長が推進

リマ市長ミゲル・ロメロ・ソテロは先月22日、国会の地方分散化委員会に対し、リマ市を構成する現行の44区を5つのグループに再編成する計画を提出した。より効果的な統治とより良い公共サービスの運営が、この「5つのリマ」の目的とされている。

ロメロ市長は、現在の40区以上におよぶリマ市自治体の細分化が、行政の統括や公共サービスの運営を困難にしていると指摘。ゆえに、すべての区を5つの地区に統合することでガバナンスを強化し、ひいては経済的な資源をより有効に活用できるとしている。

リマ市自治体は、同プロジェクトの実施にあたり、都市の再編成が有効に働くとするいくつかのシナリオを準備。「私たちは現在、市政任期(2019年~2022年)の最終段階を迎えつつあります。この最後のステージにおいて、ひとつの計画があります。その計画とは、リマに人間味を与えること。私たちは人間性を失い、市民に対してあまりにも無関心で、ガバナンス問題への取り組みもおざなりになっています。今のリマに代わる“5つのリマ”を提案したいというだけです」

「私はリマ市の副市長を務めたことがあります。なので、ホルヘ・ムニョス氏(※公選で選出された現市政任期の前市長。二重手当受給問題で免職となった)とは当初からこの問題に取り組んできました。すなわち、第A.C.307号合意に基き、国会においてこのガバナンス問題を討議するよう呼びかけています。人間味あふれる統合的な開発という、困難で深いテーマと向き合うためです」と市長はRPP(※国営ラジオ放送局)とのインタビューで語った。

市長はこの件に関し、国会地方分権化委員会のノルマ・ヤロー委員長と既に面会したことを明らかにすると共に、複数の区議会とはすでに対話を進めていると強調した。「5つの組み合わせがありますね。たとえば、リマ・ノルテ(リマ北部地区)はアンコン、カラバイヨ、コマス、インデペンデンシア、サン・マルティン・デ・ポーレス、プエンテ・ピエドラといった具合です」

国会地方分散化委員会の反応は?

一方、国会会地方分権化委員会のヤロー委員長は、ロメロ市長との対話を経て、首都リマを5つに分割しようとする計画は実現不可能と見なし、市長には会議の席でその旨を伝えたことを自身のTwitterアカウントを通じて公表し、あわせて、法案化に際しては自治体行政組織法およびペルー憲法の改定が必ず求められることになると説明した。

これについては今年6月1日、リマ首都圏自治体の特別制度に関する自治体行政組織法の変更にあたり数年前に付与された別の法案を更新するための第2201/2021-GL法案が、国会地方分散化委員会に提出されている。

リマ市再編計画 – 5つのリマの新たな区分けは?

ロメロ市長が推進するこのプロジェクトは、現行のリマ市行政区を5つの地区単位にまとめようとするもの。リマ市議会で合意された構想に基く地区単位は下記のとおり(6ケタの数値は現在の公式地域コード)。

Lima Norte(リマ北部地区)

150110 Comas(コマス)
150102 Ancón(アンコン)
150118 Los Olivos(ロス・オリーボス)
150106 Carabayllo(カラバイージョ)
150113 Independencia(インデペンデンシア)
150136 San Martín de Porres(サン・マルティン・デ・ポーレス)
150140 Santa Rosa(サンタ・ロサ)
150126 Puente Piedra.(プエンテ・ピエドラ)

Lima Sur(リマ南部地区)

150144 Villa María del Triunfo(ビジャ・マリア・デル・トリウンフォ)
150134 San Juan de Miraflores(サン・フアン・デ・ミラフローレス)
150143 Villa El Salvador(ビジャ・エル・サルバドル)
150124 Pachacamac(パチャカマック)
150109 Cieneguilla(シエネギージャ)
150120 Lurín(ルリン)

Lima Centro(リマ中部地区)

150104 Barranco(バランコ)
150105 Breña(ブレーニャ)
150108 Chorrillos(チョリージョス)
150114 Jesús María(ヘスス・マリア)
150116 La Victoria(ラ・ビクトリア)
150101 Lima Cercado(リマ・セルカード)
150117 Lince(リンセ)
150121 Magdalena del Mar(マグダレーナ・デル・マール)
150122 Miraflores(ミラフローレス)
150123 Pueblo Libre(プエブロ・リブレ)
150129 Rímac(リマック)
150131 San Borja(サン・ボルハ)
150132 San Isidro(サン・イシドロ)
150135 San Luis(サン・ルイス)
150137 San Miguel(サン・ミゲル)
150141 Santiago de Surco(サンティアゴ・デ・スルコ)
150142 Surquillo(スルキージョ)

Lima Este(リマ東部地区)

150133 San Juan de Lurigancho(サン・フアン・デ・ルリガンチョ)
150119 Lurigancho – Chosica(ルリガンチョ-チョシカ)
150103 Ate Vitarte(アテ・ビタルテ)
150107 Chaclacayo(チャクラカヨ)
150111 El Agustino(エル・アグスティーノ)
150138 Santa Anita(サンタ・アニータ)
150115 La Molina(ラ・モリーナ)

Lima Balnearios(リマ海浜地区)

150127 Punta Hermosa(プンタ・エルモサ)
150139 Santa María del Mar(サンタ・マリア・デル・マール)
150130 San Bartolo(サン・バルトロ)
150125 Pucusana(プクサーナ)
150128 Punta Negra(プンタ・ネグラ)

150112 Huaycán(ワイカン)は上記に含まれていない

※150112 Huaycán (ワイカン)

1980年代半ばに提案された都市開発計画に端を発するリマ市(Provincia de Lima)で44番目の区。2021年5月20日、ペルー共和国議会はワイカン区の創設を可決、同年5月26日公布のAte区議会決議第027号により隣接するAte区との境界が正式に決定された。República紙による上記の統合案(合計43区)からは欠落している模様。尚、ワイカン区を加えたリマ市44区(Provincia de Lima)に、カリャオ憲法特別市(Provincia constitucional del Callao)を構成する7つの区(Callao, Bellavista, Carmen de La Legua, La Perla, La Punta, Mi Perú, Ventanilla)を加えた計51区をリマ首都圏(Lima Metropolitana)と呼ぶ。

(ソース: La República 16/07/22)