いちいち値段を尋ねることについて

インフォーマル文化のペルーでは、身元不明の個人がありとあらゆるモノを自由にネットで売買する。先日も「ベネズエラ人の家族が手作りお菓子を売ります」という情報がfacebookにあり、彼らの応援になるならと注文してみた。果たして何のトラブルもなく、シンプルなパイ風のお菓子(トップ写真)を入手した次第だ。日本だったら「製造許可はあるのか」とか「素材は」、「アレルギー物質は」といろいろうるさそうだが、ペルーはシンプルでいい。もちろん非衛生的なものを売られては困るが、不安ならきちんとした店舗で買えばいいだけのことだ。安かろう悪かろうは当然、高くても悪いことが普通にあるペルーでは、消費者自身が自分で考え、防御しなくてはならないのである。

だからだろう、「●●を売ります。値段は××ソレス」と明記してあるにもかかわらず、およそ7割が「Precio?(値段は?)」と尋ねるのである。最初はそれを見る度にイライラして、「そこに書いてあるやん、ちゃんと読めや、あほんだら」と悪態をついていた私だが、今では必要悪なのだと思うようになった。

ペルーは人によって言う事がころころ変わる国。何かの手続の際、担当者ごとに説明が違うせいで何度もやり直しした苦い経験は、在住者ならみな持っているだろう。あと人をみて値段を変えるとかね。それはペルー人も同じ。だからみんな「そこに値段は書いてあるけど、でも“私に対しては”どうなのよ?」と習慣的に聞いてしまうのだ。もちろんその7割のうち5割は「習慣+そもそも見ちゃいない」なんだろうけれど。そうそう、「人の話を聞いてない、周囲を見てない」もペルー人によくあるの特徴の1つである。

最近は時代を反映して「アパート売ります」が急増中。写真とともに間取りやおよその立地をアップし、「Precio?」と聞かれてはコメントを返す。どんな犯罪者が見ているか分からないのに、なぜそう平気で個人情報を垂れ流すんだ!・・・あぁ、「楽観的」もペルー人らしさの1つだった。仲介業者なしで物件が売れたらそりゃ丸儲けだからねぇ。でもやっぱ危ないでしょ・・・

ちなみに私がよく覗くfacebookのある非公開グループにも、ここんところ毎日のように「アパート売ります」が投稿される。管理者が「このグループでは不動産売買情報は禁止」って何度も警告しているのに、それも見てないんだなぁ。ふふ、やっぱりペルーって面白い。