マチュピチュ遺跡入場制限とチケットのネット販売規約

7月19日から入場制限を開始した世界遺産マチュピチュ遺跡。ユネスコの勧告に基いた「マチュピチュ遺跡マスタープラン」に規定されている一日当たりの入場者数は2500人で、チケットが入手できず遺跡の見学ができない観光客が続出、チケット販売窓口のひとつである文化省のクスコ地方支局に集団で押しかけるなど徐々に騒ぎが大きくなりつつあります。同支局ではさらに一日400人をさばける遺跡周辺トレッキングルートを急遽企画しているようですが、未だ実施には至っていません。

現地でチケットが購入できない理由として、インターネット予約による電子チケット販売数の増加が少なからず影響していると思われます。昨年末から実施されたこのマチュピチュチケットネット予約販売システム、サイトがスペイン語ということもあり日本人には内容がわかりづらくなっています。このシステムを使うかもしれない個人旅行者のために、同サイトの「マチュピチュ電子チケット購入に関する規約」を簡単に訳してみましたので、以下ご参考まで(本日現在/拙訳につきあくまでも参考)。せっかくのペルー旅行でマチュピチュ観光ができなかった、というのは悲しすぎますから。

ペルー文化省クスコ地方支局
マチュピチュ電子チケット購入に関する規約

文化省クスコ地方支局長フアン・フリオ・ガルシア・リバス(以下LA DRC-Cと称す)を甲とし、顧客を乙とするこの文書「電子入場券の規約」は以下の各条項に基づくものとする。

第1条 総則

  • 当文書は契約書としての効力を有す。
  • 当電子入場券購入に際し、乙は無条件に当文書の各条項に同意する。
  • 甲乙以外の第三者は各条項の改変・制限・拡大に関する一切の権限を有しない。
  • 当電子入場券は個人記名式とし、他人への譲渡は不可とする。
  • 甲は乙のマチュピチュ遺跡入場にあたり可能な限りの便宜を図るものとする。
  • この文書はペルーの現行法規に基づき、主にマチュピチュ遺跡への入場に関し制定される。
  • 乙は個人・法人を問わずインターネットを通じ当電子入場券を購入できる。ただし、インカトレイル網への入場券はマュピチュ遺跡・インカトレイル観光指針に基づき登録旅行代理店を通じ販売されるものとする。

第2条 遺跡への入場

  • マチュピチュ遺跡を訪れる際、乙は当該電子入場券と身分証明書原本を提示しなければならない。乙が未成年かつ未だ身分証明書を有していない場合は、同伴する成人が示す付帯資料をもって甲がその是非を判断する。
  • 甲は乙のマチュピチュ遺跡入場前および観覧中に乙の所持する入場券を検札する権利を有す。
  • 乙が所持する電子入場券の名義を証明するに足りる身分証明書類を乙が提示できない場合、もしくはその名義が一致しない場合、甲は乙のマチュピチュ遺跡への入場を制限・禁止することが出来る。尚、この場合当該電子入場券の代金は払い戻されない。
  • 乙が所持する電子入場券に記載された日付に当該入場券を使用しなかった場合、料金は払い戻されない。
  • 乙は電子入場券に記載される個人データの入力に際し正確を期さなければならない。
  • 乙の健康状態が芳しくない時、また乙が妊娠中の場合には甲は乙のマチュピチュ遺跡への入場を制限することがある。
  • マチュピチュ遺跡への入場に起因する乙の健康状態の悪化、外傷およびその他の事故発生等に関し甲は一切の責任を負わない。
  • 電子入場券はその券面に記載された日付にのみマチュピチュ遺跡への入場が可能となる。一方、甲は甲の都合により、記名その他のデータを除き入場日のみその前日もしくは翌日に急遽変更する場合がある。
  • 甲は乙に対し、遺跡内における動物居住区域や立ち入り禁止区域を示す標識の設置および遺跡内の監視により乙の安全に配慮する。

次に該当する人物の遺跡への立ち入りおよび携行品の持込、また遺跡内から物を持ち出す行為は制限される場合がある。

  • 毒物、アルコール、麻薬等の影響下にある者
  • 火器もしくは圧搾空気を使用した銃器、弾薬、爆薬、可燃物、その他危険物の遺跡への持ち込み
  • 弓矢、狩猟道具、斧、鉈、刃渡り7cm以上のナイフ、つるはし、スコップその他の道具類
  • 動物用の罠
  • 灯油、軽油、ガソリン等の燃料
  • 音響機器およびその他騒音源となるもの
  • 家畜ならびに外来生物
  • 蝋燭
  • 他人に迷惑を及ぼす者

第3条 遺跡内での禁止事項

遺跡内における次の行為はこれを固く禁止する。

  • 焚き火
  • 食事
  • 遺跡への落書き
  • 遺跡へ触れること・遺跡によじ登る行為
  • 大声を出すこと
  • 立小便・野糞
  • 飲み物の持ち込み(水筒除く)
  • 動植物に影響を与える行為
  • 杖・ステッキの使用(高齢者・障害者を除く)
  • 喫煙

第4条. 不測の事項

  • 電子入場券の紛失もしくは盗難に際し、甲は甲のウェブサイトを通じ無償で当該入場券を再発行する。
  • 乙が手配したマチュピチュ遺跡への交通手段が天候不順により遅延したと甲が認めた場合、甲は乙に対し入場定員を考慮の上、無償にて代替可能な入場日付を乙に通知する。この場合、電子入場券の払い戻しは行わない。
  • 当該地域の自然災害により乙がマチュピチュ遺跡へ到達できない場合、甲は無償で電子入場券に記載された日付の変更手続きを行う。また、旅行代理店が既に顧客に料金を払い戻している場合は、払い戻しの実施を甲に対し立証することで電子入場券の名義変更を可能とする。

第5条 免責条項

  • 甲はマチュピチュ遺跡入場者の手荷物につきその一部または全部の損傷、もしくは紛失に関する責任を負わない。
  • 甲はマチュピチュ遺跡内外における悪天候に関する責任を負わない。
  • 甲は乙のマチュピチュ遺跡内における通行に関する責任を負わない。また、甲の職員の指示に従わず事故が発生した場合、乙の安全に関する全責任は乙に帰属するものとする。
  • 乙が指定区域以外または禁止区域に立ち入った場合、甲は乙の安全に関する責任を負わない。

第6条 ネットサービスへの配慮

甲は電子チケットサービスオフィスを通じた高質なサービス提供にあたり次のとおり誓約する。

  • ポータルサイトwww.machupicchu.gob.peを通じた電子チケットに関する様々な手続きを可能とする情報システムの提供
  • 電話、電子メール、SMS、SNSなど、上記以外の手段による顧客相談や詳細手続きのための年中無休24時間コールセンターの設置
  • 顧客への72時間以内の回答

第7条 支払方法

乙は甲に対し次の方法で支払いを行う。

  • インターネットによる予約とクレジットカードでの支払い-乙は甲のポータルサイトを通じて予約を行い、その後24時間以内にペルー国民銀行(Banco de la Nación)のマルチネットワークカードで代金を決済する。決済後出力した電子チケットで直接マチュピチュ遺跡に入場する。
  • インターネットによる予約と銀行窓口での支払い-乙は甲のポータルサイトを通じて予約を行い、現金もしくは銀行振出小切手にて国内のペルー国民銀行窓口にネットの予約番号を伝えた上で代金を支払う。マチュピチュ遺跡には直接入場する。
  • 文化省クスコ地方支局窓口での現金による支払い-乙は甲のポータルサイトを通じて予約を行う。現金もしくは銀行振出小切手にて文化省クスコ地方支局窓口にネット予約番号を伝え代金を支払う。窓口営業時間は月曜日から金曜日の午前8時から午後16時まで。場所はクスコのAv. de la Cultura 238(大学スタジアム前)もしくはアグアス・カリエンテスの文化センター(月曜日~日曜日、午前5時20分~午後9時)。
  • 文化省クスコ地方支局窓口でのカード支払い-乙は甲のポータルサイトを通じて予約を行う。窓口にて提携銀行のカードで支払う(手数料なし)。窓口営業時間は月曜日から金曜日の午前8時から午後16時まで。場所はクスコのAv. de la Cultura 238(大学スタジアム前)もしくはアグアス・カリエンテスの文化センター(月曜日~日曜日、午前5時20分~午後9時)。ただしアグアス・カリエンテスの文化センターでは緊急時のみ受付。
  • 代理店を通じた購入-乙は認証旅行代理店ならびに電子チケット取り扱い旅行代理店にて入場券の購入が可能。

第8条 払い戻し

甲は入場券の名義人もしくは払い戻し請求権のある代理店に限り、乙による入場券原本の提示を条件として、次の条項に従い限られた場合にのみ遺跡入場券の払い戻し手続きを行う。

  • 乙の健康上の理由、もしくは甲が管轄する区域内における争議行為により乙が遺跡にたどり着けない場合、甲は乙に対し入場券の名義および日付の変更を認める。ペナルティは料金の10パーセント。
  • 乙の不注意により当規約を熟読せず生じた理由による入場券の名義人および日付の変更については、手続きに先立ち次のペナルティが適用される。
  1. 24時間前まで-料金の30パーセント
  2. 48時間前まで-料金の25パーセント
  3. 72時間前まで-料金の10パーセント
  • 乙が甲に対し適切な連絡や手続きを怠り、定められた日付通り遺跡に入場しなかった場合、乙は甲に対する払い戻しについての一切の権利を喪失する。

第9条 滞在期限

乙のマチュピチュ遺跡滞在は乙が入場券を用いマチュピチュ遺跡に入場した時点からとする。以降乙は入場券の券面に記載された見学時間帯の間甲の管理・監視下に置かれる。

第10条 個人情報の保護

甲は次の項目につき責任ある運営を行う。

  • ブロードバンド対応、かつ支払いシステムの認証に国際的な安全性のあるSSL技術を用いた高規格なポータルサイトを通じた迅速、簡便、安全な方法による電子入場券の予約。
  • 甲のシステムに入力された乙の全ての情報は高度な暗号化技術により秘匿され、厳重に保管される。

第11条 支払証憑

乙による支払い実行後、甲の予約システムは国内定型様式に準拠した印刷可能な入場券兼領収書を発行する。尚、個別の領収書は発行しない。

第12条 補完条項

当規約に記されていない事項については、マチュピチュ遺跡・インカトレイル観光指針の条項および他の約定を適用する。