Chupe de Camarones チュペ・デ・カマロネス

ケチュア語で「とあるジャガイモのスープ」を意味する “Chupi(チュピ)” が語源のミルクスープ、Chupe(チュペ)。一口にチュペといっても使われる具材はさまざまで、ペルーにはそら豆やパジャーレス豆、カボチャなどの野菜を使ったチュペのほか、魚介類をメインにしたチュペなどたくさんの種類があります。

そんなチュペの王様といえるのが、このChupe de Camarones(チュペ・デ・カマロネス)。世界遺産の街アレキパの名物料理として知られるこのスープは、ペルーのガストロノミアを象徴する料理のひとつとして不動の人気を誇っています。

¡新食材! 】camarón de río(カマロン・デル・リオ/川エビ)について

テナガエビ科で学名はCryphiops caementarius。camarónはスペイン語で「小エビ or 車エビ」を意味し、camarón de mar(海エビ)などともいいますが、ペルーでカマロンといえばほぼこの川エビ一択、海エビはlangostino(ランゴスティーノ)と呼ぶのが一般的です。

体長は数cmから20cmを越すものまでさまざまで、大きいのは炭火を使った姿焼きや煮込みに、小さいものは素揚げなどにぴったり。薄いグレー~茶色をしており、爪の先は青みを帯びたきれいな色をしています。甘味があり、臭みもほとんどありません。最大生息地はアレキパですが、北はランバイエケやチャンカイ、リマ州郊外にも生息。年間を通じて産卵し、最大繁殖期は12月~3月。それに合わせペルーでは、毎年1月初旬~3月末が禁漁期となっています。

カマロンの素揚げ。小ぶりのカマロンは殻が柔らかく、丸ごとパリパリと食べれれるのが魅力。レモンをチュッと絞って頂くと、ビールのアテに最高!
大振りなカマロンを使った贅沢なPicante de Camaron(ピカンテ・デ・カマロン)。汚れなんて気にせず、手づかみでどうぞ~

昔はそれこそお父さんが子供たちと一緒に近所の川で獲ってきたカマロンを、お母さんがチュペや唐揚げにしてくれた・・・なんていうくらい身近な食材だったそう。しかしながら今ではすっかり高級食材となってしまい、気軽に手が出せません。だからこそ、鮮度のいいカマロン、または有頭エビを見つけた時にはぜひ!うま味たっぷりで後を引く美味しさです。

【材料】2人分

  • カマロン、または有頭エビ 300~400g
  • タマネギやニンジン、ポロ、セロリなどのクズ野菜 少々
  • バター 大1
  • 白ワイン 少々
  • たまねぎのみじん切り 1/2個
  • すりおろしニンニク 大1/2
  • アヒ・パンカペースト 大1.5
  • トマト 1/2個
  • トウモロコシ 小1本
  • ジャガイモ 2個
  • カボチャ 50~60g
  • そら豆 60~70g
  • ケソ・フレスコ 70g
  • 米 大2~3
  • ワカタイ 1~2本
  • カルド・デ・ペスカード(フィッシュ・ブイヨン) 700~800ml
  • エバミルク 100~150ml
  • 卵 2個
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量

【作り方】

1、エビをよく洗い、形のいいものを数匹取り分け、残りのエビは殻や頭を剥いておく。

2、フライパンに油少々とバターを入れて熱し、エビの殻とクズ野菜を入れて炒める。白ワイン少々を加えてアルコール分を飛ばしたら水を100mlほど入れ、木べらなどで殻を叩いて潰しながら弱火でしばらく加熱する。

3、2をミキサーにかけてザルでこし、エビの出汁をとっておく。

4、トウモロコシは輪切りに、ジャガイモとカボチャは皮を剥いて、ジャガイモは大きめに、カボチャは小さめにカットする。そら豆の種皮を剥く。米を洗ってザルにあげておく。

5、アデレソを作る。鍋に油を敷き、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。タマネギが透明になったらニンニクを入れ、次にアヒ・アマリージョペーストを入れてよく炒める。皮と種を取ってみじん切りにしたトマトを加えて更に炒め、塩コショウ、クミン、オレガノを適量入れてよく混ぜ合わせたらアデレソのできあがり

6、アデレソにカルドと3の出汁を入れて沸騰させ、米を入れて蓋をし、弱火で5分ほど加熱する。

7、米が透明になってきたら、トウモロコシやジャガイモ、カボチャを加え、ワカタイの枝も入れて数分煮込む。塩コショウを少し加えて味を調える。

8、米やジャガイモにほぼ火が通ったら、1のエビを入れて3~4分加熱する。エビの殻の色が変わってきたら、種皮を剥いたそら豆と、卵をそっと割落とし、蓋をして弱火で引き続き加熱する。エビを加熱しすぎないよう、卵を入れるタイミングを計って。

9、すべての具材に火が通ったらワカタイの枝を取り除き、エバミルクを入れる。最後に塩コショウで味を調え、カットしたケソ・フレスコを加えて出来上がり。仕上げにみじん切りにしたワカタイの葉、もしくはオレガノを振って香り高く仕上げて。

【Keikoからひとこと】

美味しさの秘密は、なんといってもエビの殻や頭からとった出汁!なので飾りに使う殻付きエビは最小限に、できるだけたくさんの殻と頭を使って濃い出汁を取りましょう。お客様にお出しするとか写真に撮るとかでなければ、全部殻を剥いてしまってもいいと思います(殻付きエビって食べにくいですしねぇ)。冷凍したエビの殻のストックがあれば、そちらも是非加えて~。

卵は鍋に直接割入れてもいいし、溶き卵にして全体に混ぜてもいいです。また別鍋でポーチドエッグにしておけば好みの硬さに仕上げることができるし、見た目もきれいですよ(写真はポーチドエッグバージョン)。卵はもう少し火を通したいけれど、エビは完全に火が通ってしまった…なんていう場合は、ちょっと面倒ですがエビをいったん取り出しておくといいかもしれません。

カマロンを海エビに置き換えればChupe de Langostino(チュペ・デ・ランゴスティーノ)、シーフードミックスを使えばChupe de Mariscos(チュペ・デ・マリスコス)、白身魚を使えばChupe de Pescado(チュペ・デ・ペスカード)になります。応用が利くペルーのチュペ、キッチンにある素材を活用して、いろいろ作ってみてくださいね。