Sancochado Limeño サンコチャード・リメーニョ

骨付き肉と野菜をコトコト炊いたSancochado(サンコチャード)は、カルド・デ・ガジーナと並ぶ冬の二大スープ。いわゆるポトフ的な料理です。

ラテン諸国ではみなSancocho(サンコーチョ)と呼ぶのに、ペルーだけ呼び名が違うのはちょっと不思議。Sancochado Limeño(リマ風サンコチャード)に至ってはスープと具材を別々によそい、色んなサルサをつけて楽しむというおでんスタイルに変身!きっと愛しのサルサがスープに溶けて味がぼやけるのを嫌ったリマっ子が、両方の持ち味を損なわない方法として考え出したのでしょうね。「でもこれじゃ、もうスープとは言わないんじゃない?」なんてツッコミはどうぞご勘弁ください。

毎年6月から8月にかけてはサンコチャード・リメーニョのシーズンで、冬季限定の特別メニューとして喧伝するレストランもあるほど。大量に仕込まなくてはならないためかビュッフェスタイルで週一開催、または最低2人分からという店が多いようです。

昔エル・コメルシオ紙に掲載されたサンコチャード・リメーニョの有名店の紹介。コロナ以降こういう華やかな記事は減りましたねぇ。
El Señorío de Sulcoのサンコチャード。具材の豪華さもさることながら、サルサの種類は圧巻!

とっても豪華なリマ風サンコチャードですが、問題は具材がすぐ冷めてしまうこと。初めて食べた時も「ちょっと、ちょっと、いくらペルー人が猫舌だからってこりゃあかんやろ~」と不満に思ったものでした。牛骨ベースのスープは最高に美味しいのですが、これも冷めるとちょっとくどくて飲めません。一般的なサンコチャードなら、まだ温かいうちに食べきれるんですけどねぇ。

アンデスで頂くサンコチャードは身も心もホッコリ。

なので、こういう料理こそおうちで作るのが一番!卓上コンロで鍋ごとサーブすれば、最後までおでんさながらの熱々の状態で楽しめます。好きな具材を少しずつ取り出して、好きなサルサをちょこっとつけてハフハフ言わせながら頂くのは、冬の最高の贅沢。寒い夜には家族と一緒に熱々のサンコチャードを囲みましょう。

【材料】2~3人分

  • 骨付き牛肉 1.2~1.5㎏(Asado de tira:ショートリブ、Pescuezo / Cogote:ネック、Punta de Pecho:胸肉がオススメ。必ず骨付きで!)
  • ジャガイモ 2~3個
  • カモーテ(サツマイモ) 1個
  • ユカ芋 1/2本
  • ニンジン 1~2本
  • トウモロコシ 1~2本
  • 大根 10~15cm
  • セロリ 3~4本
  • ポロ 1本
  • カボチャ 約10cm角
  • キャベツ 1/8個
  • 茹でたガルバンソ 1/2カップ
  • ペレヒル(イタリアンパセリ) 適量
  • 塩コショウ
  • オプション:チョリソー、厚切りベーコン、鶏肉、皮付き豚もも肉など
  • 付け合わせ:サルサ・クリオージャサルサ・デ・ロコトサルサ・デ・ワカタイサルサ・ワンカイーナサルサ・オコパなどなどお好きなサルサ

【作り方】

1、骨付き牛肉を茹でる。鍋に牛肉と牛肉が十分かぶるくらいの水、塩少々を加え、1~1.5時間(骨が肉からすっと剝がれるくらいまで)茹でる。圧力鍋なら30~35分で完了。

2、野菜を適当な大きさにカットする。丸ごとごろんと入れてもいいし、細長く棒状にカットしてもいいが、できるだけ大きさを揃えること。

3、1の鍋に野菜をどんどん加えて煮ていく。ポロやセロリ、ユカ芋、カボチャなど煮溶けてしまう野菜は、火が通ったらいったん取り出しておくとよい。

4、最後に塩コショウでスープの味を調えたらできあがり。具材とスープを別に盛り、スープには刻んだペレヒルを加える。お好みのサルサを添えて熱々を頂こう。

【サルサ・クリオージャ】

刻んだタマネギとトマト、クラントロ、アヒ・リモ、レモンを混ぜ、塩コショウで味を調えてできあがり。

【サルサ・デ・ロコト】

芯と種を取り除いたロコト1個とタマネギ1/8個、ニンニク1個、オリーブオイル大2、ビネガー大1と塩適量をミキサーにかける。※ロコトの辛さを直球で楽しみたい人向け。辛いのが苦手なら、ロコトとタマネギ、ニンニクをオイルで炒めてからミキサーにかけると、だいぶまろやかになります。

【サルサ・デ・ワカタイ】

ワカタイの葉ひとつかみ(ワカタイペースト大2でも)とタマネギ1/8個、ニンニク1個、ロコト1/4個、アヒ・アマリージョ1/2本をざく切りにしてオリーブオイルで軽く炒め、ミキサーにかける。砕いたピーナツ大1と塩コショウ、追加でオリーブオイルを適量加え、更にミキサーにかけてできあがり。

【Keikoからひとこと】

この料理のうまみは牛骨からでる出汁と塩のみ!なので必ず骨付き肉を使ってくださいね。牛骨スープの味が心もとないようなら、厚切りベーコンやチョリソーを加えるとそれなりにしっかりすると思います。その場合、後から加える塩の量は控えめに。

あとは素材をコトコト煮込むだけなので本当に簡単。味や見た目、食感だけでなく、味の奥行きを出すためにも具材はいろいろあったほうがベストですが、もちろん全部そろわなくても気にしない、気にしない。個人的にはニンジンとユカ芋、大根、ポロ、セロリ、キャベツがあれば十分かなと思います。くたくたになったキャベツ、最高ですよ!

具材の味がどれも優しいので、ロコトなどパンチの効いたサルサのほうが合うかな~。粒マスタードもいいかも?たくさん仕込んで、家族や友人とワイワイ楽しんでくださいね。