イカを知ろう!ぶどう踏みから人魚まで

イカについて語ることは、ペルーらしさや誇りを語るということ。リマの南側に隣接し、年に300万人以上の観光客が訪れるイカ州は、ペルーの国民的蒸留酒ピスコの発祥地というだけでなく、ナスカの地上絵やワカチナのオアシス、パラカス自然保護区など国内でも有数の観光地を擁しています。

さらに、数々の祭りや地域独特の行事が旅行者を楽しませてくれます。そんなイカ州で特に重要とされる伝統行事や文化、伝承について、ペルー貿易観光促進庁(Promperú)が次のように紹介しています。

LA VENDIMIA(ベンディミア)

イカには国内有数のワイナリーが数多くあり、それゆえベンディミアが地域の主な伝統行事となっています。毎年3月の初旬に行われるこの祭りでは、ダンスや伝統的なぶどう踏みと共に、ピスコ酒やワイン、カチータ(※ブドウの果汁から作る飲み物)が振舞われます。この地のワインやピスコの製造が16世紀に始まったことを考えると、豊穣の祭り「ベンディミア」には長い歴史があるといえます。

EL FESTEJO(フェステホ)

この典型的なダンスの歴史は、アフリカ系ペルー人の文化と密接な関係があり、カニェテ郡サンルイスやチンチャ郡エルカルメンでは最もポピュラーな踊りになっています。ジェスチャーや腕の動き、腰の振りなど非常に特徴のある求愛のダンスで、イカの祭りには欠かせないもののひとつです。

EL CAJÓN PERUANO(カホン・ペルアーノ)

この打楽器は、スペイン植民地時代にペルーへ連れてこられたアフリカ人奴隷たちによって考案されました。植民地時代には太鼓の使用を始め、アフリカの文化を表現することが禁じられていたのです。奴隷たちがそのルーツを取り戻し、民族の伝統に誇りを持つための反抗の証として誕生したのがカホンです。木で作られた中空のこの箱は、彼らが音楽を育み続けていくための楽器でした。この楽器は19世紀に入ってから、アフリカ系ペルー人文化の振興にあたっていたポルフィリオ・バスケスにより、カホン・ペルアーノとして知られる現在の形に標準化されました。

EL SEÑOR DE LUREN(ルレンのキリスト)

「奇跡のキリスト」エル・セニョール・デ・ロス・ミラグロスに次いで、ペルーでは2番目に参列者の多いカトリックのプロセシオン(※宗教的行列)です。毎年10月の第3月曜日、イカのカトリック信者たちがルレンのキリスト像を担いで練り歩くこの行列は18時間にもおよぶもので、400年以上前から続いています。ルレンのキリストはイカ郡の守護聖人として崇められ、この行列はペルーの国家文化遺産に指定されています。

LA LEYENDA DE LA HUACACHINA(ワカチナの伝説)

ワカチナとはイカの砂漠の真っただ中にあるオアシスです。小さな湖と周囲の砂丘は観光名所へと形を変え、特にアドベンチャースポーツに挑戦しようとする旅行者に人気です。ワカチナの起源は謎に包まれています。ケチュア語で「泣く女」を意味するその名(Huacca China)は、この近くに暮らしていたインカの姫君に由来すると言われています。ある日水浴びをしていた姫は、男に見られていることに気づきます。怖くなった姫は駆け出しますが、彼女の衣服は木にからみ取られて砂丘になってしまいました。さらに走り続けた姫は再びつまずき、持っていた手鏡が粉々に割れて湖になってしまいました。湖底に沈んだ姫は人魚に姿を変え、今でも夜になるとその泣き声が聞こえると言います。

(ソース: ペルー貿易観光促進庁/Promperú)