Tallarín Saltado de Pollo タジャリン・サルタード・デ・ポヨ

中国系移民がペルーで始めた中華料理店、またはそこで出される料理のことを「chifa(チーファ)」といいます。手早くできて量も多く、安くて美味しいチーファは炭水化物ラバーのペルー人を瞬く間に魅了しました。

その中国系移民がペルーの食文化にもたらした最大の恩恵が、saltear(サルテアール/炒める・ソテーする)という調理法です。もちろん食材をフライパンで炒めるという調理法は昔からありましたが、それは時間をかけて素材を炒める、またはじっくり焼き付けるというもので、「時間が勝負、火力が命」という類のものではありませんでした。

中国人シェフがまるで煉獄の炎のような強火を使ってあっという間に一品仕上げるその姿は、さぞやペルー人の度肝を抜いたことでしょう。最近はsaltearと区別するため、wok(ウォック/中華鍋、または中華鍋を使った強火の調理法)という言葉も登場しました。食文化ってこうして時代に合わせて変化していくんですね。

一方ペルーにパスタを伝えたのは、ご想像の通りイタリア移民です。ペルーではロングパスタのことを総称して、イタリアのタリオリーニ、またはタリアッテレなどの平麺を意味するtallarín(タジャリン/タジャリネス:複数形)と呼んでいます。pasta(パスタ)というとショートパスタか、もしくは「ソース、ペースト」の意味で使われることがほとんどですね。リマ市内のおしゃれ系レストランではパスタのほか、espaguetis(スパゲティ)という名称も見かけるようになりましたが、全国的にみれば圧倒的にタジャリンが優勢です。

麺の太さにこだわらず、どんなパスタ料理も「タジャリン〇〇」と呼ぶペルー人のその大らかな感覚は、パスタの茹で加減にも影響しているように思います。残念ながら当時のペルー人は、イタリア人から“アルデンテ”がどういった状態をさすのかを学ばなかったようで・・・(これ以上は長くなってしまうので、また別の機会に語らせてください!)

ということで、今回はまさに各国の移民を受け入れてきたからこそ誕生したタジャリン・サルタード、いわゆるペルー風焼きそばをご紹介します。チーファの焼きそばとは一線を画す、ペルー生まれのクリオージャ料理です。

【材料】2人分

  • ロングパスタ(今回はlinguini grosso使用) 200g
  • 鶏むね肉 200g
  • タマネギ 1/2個
  • トマト 1個
  • アヒ・アマリージョ 1/2本
  • 細ネギ 3~4本
  • ニンニクのすりおろし 大1/2
  • 醤油 大1
  • オイスターソース 大1
  • 赤ワインビネガー、または白ワインビネガー 大1
  • カルド・デ・ポヨ(チキンブイヨン) 50ml
  • 塩コショウ、クミン、クラントロ、ゴマ油 適量
  • オプション:中国しょうゆ

【作り方】

1、鶏むね肉を細長くカットし、塩コショウとクミン、醤油(分量外)、ニンニクのすりおろし(分量外)を加えて混ぜ合わせ、下味をつけておく。

2、パスタを茹でる。今回は手早く仕上げることが肝心なので、5の段階では茹で上がっているように。

3、野菜をカットする。タマネギは厚めのくし切りにし、1枚ずつばらしておく。トマトもくし切りにし、種を取り除く。種と胎座(白い筋)を取り除いたアヒ・アマリージョを細切りに、細ネギは4cmほどの長さにカットする。クラントロの葉を刻んでおく。

4、フライパンに油を敷き、1の鶏肉を香ばしく焼いて一度取り出す。最後はさっと合わせるだけなので、ここで8割方火を通しておこう。

5、4のフライパンに油を足し入れ、タマネギとニンニクのすりおろしを入れて手早く炒め、アヒ・アマリージョ、トマトの順に入れて炒める。4の鶏肉を戻して赤ワインビネガー、醤油、オイスターソースを加える。

6、茹で上がったパスタとカルドを加えて手早く混ぜ合わせ、ジューシーに仕上げる。塩コショウで味を調え、火を止める直前に細ネギとクラントロを加えたらできあがり。仕上げにごま油をひとたらしするといいだろう。

【Keikoからのひとことアドバイス】

炒め物に慣れている日本の方なら、簡単に作れるであろうタジャリン・サルタード。ペルー風焼きそばと表現しましたが、「創作パスタ」と言ったほうがイメージしやすいかもしれませんね。この料理のポイントはなんといってもタマネギのシャキシャキ感と、煮崩れてはいないけれどいい具合に柔らかくなったトマトの微妙な食感。なのでとにかく手早く、一気に仕上げてください。

ちなみに「炒め物にビネガー」という組み合わせはオススメですよ!日本のミツ〇ンの回し者ではないですが、うま味も加わるしさっぱり仕上がるので、私は日本風の野菜炒めを作る時にもビネガーを入れるようになりました。

またペルー人ははっきりした色調が好きなのか、一般的な醤油(sillao claro/シジャオ・クラロ:色の薄い醤油)に加え、sillao oscuro(シジャオ・オスクーロ/黒醤油:中国しょうゆ)を入れて黒々艶々に仕上げる人もいます。地球の裏でも李錦記や珠江橋牌の中国たまり醤油(老抽)が普通に買えるってすごいですよね。ということでよりペルーっぽく仕上げたい方は、ぜひ中国しょうゆも加えてみてください。