Rocoto Relleno ロコト・レジェーノ

ペルー南部アレキパ州の郷土料理、ロコト・レジェーノ(ロコトの詰め物)。ロコトとはペルー山岳地帯で栽培されるアヒの一種で、見た目はコロンと丸い小さめのパプリカ、そのくせ辛さはハラペーニョの数倍というなんとも小悪魔的なアヒです。

辛さを示すスコヴィル値は日本語wikiによると5~10万、西語wikiで10~20万、手元の本では10~35万スコヴィルとバラバラ。それもそのはず、一口にロコトといってもその種類は200種以上にもなるんですよ。

食用として多く栽培されているのは、小ぶりながら辛味が強いrocoto serranoと、ちょっと大きめのrocoto monte(またはrocoto de la selva)の2種類で、前者はペルー料理全般に、後者は主にアレキパのレストランでロコト・レジェーノ用として利用されるそうです。

ピーマンの肉詰めよろしく、誰でも簡単に作れちゃうロコト・レジェーノですが、下処理には細心の注意を。油断していると、スコヴィル攻撃で目や喉をやれてしまいますからね。今回はちょっぴり豪華バージョンをご紹介、辛味を引き立てるレーズンと、食感を楽しませてくれるピーナツは必須アイテムです。

【材料】ロコト4つ分

  • ロコト 4個
  • カットした牛赤身肉 200g
  • カットした豚赤身肉 100g
  • タマネギのみじん切り 1/2個分
  • ニンニクのすりおろし 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大1
  • アヒ・パンカペースト 大2
  • パン粉、またはシンプルなビスケット 15~20g
  • ビーフコンソメ 100~150ml
  • 炒って砕いたピーナツ ひとつかみ(15g前後)
  • レーズン ひとつかみ(25g前後)
  • 茹で卵 1個
  • ブラックオリーブ 4個
  • ケソ・パリア、またはお好きなチーズ 4切れ
  • 牛乳、塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • 付け合わせ:パステル・デ・パパ(ジャガイモの重ね焼き)

【作り方】

ロコトの下処理
1、ロコトのヘタを切り、包丁やスプーンを使って中の種と隔壁(筋)をかき出す。底のほうの隔壁は取りにくいがとても辛いので、しっかり取り除こう。 ヘタは蓋として利用するので捨てないこと。

2、沸騰した湯に塩大1(分量外)を加え、ロコト(蓋も)を入れて4~5分茹で、一度水に取って冷ます。これを2~3回繰り返す。茹ですぎるとロコトの皮が破れてしまうし、ロコトの最大の魅力である辛味も抜けすぎてしまうので、2回茹でこぼしたら一度味見をしよう。ペルーでは3回茹でるというレシピが大半だが、辛いもの好きなら2回で十分。

フィリング(詰め物)~ 仕上げ
1、パン粉(ビスケット)を適量のビーフコンソメ、または牛乳に漬け、ふやかしておく。残りのコンソメは3で使うので、別に取っておく。

2、フライパンに油(分量外)を入れてタマネギを炒め、タマネギが透き通ってきたらニンニク、アヒの順に入れてそれぞれよく炒める。そこに牛肉と豚肉、クミン、オレガノを加え炒める。

3、2のフライパンに柔らかくなったパン粉を加え、残りのビーフコンソメを少しずつ加えながらフィリングをしっとり仕上げる。ピーナツとレーズンを加え、最後に塩コショウで味を調える。

4、フィリングと一緒に、1/4にカットした茹で卵とブラックオリーブ1個をロコトに詰め、上にチーズとロコトの蓋(ヘタ)をかぶせて耐熱容器に並べ、180度で20分ほど焼く。ロコトにもフィリングにも火が通っているので、チーズが溶けたら完成。

付け合わせ ~ パステル・デ・パパ
1、茹でたジャガイモを薄くスライスする。耐熱容器に薄くバターを塗り、スライスしたジャガイモとチーズ、卵液(エバミルクに卵を入れてよく溶きほぐし、塩コショウで味を調えたもの)を交互に入れる。仕上げにアニスシードをふりまけば、本場アレキパさながらの味に!180度のオーブンで20~30分、卵液が固まったらできあがり。

ロコト・レジェーノとパステル・デ・パパを同時に作った手抜きバージョン。余ったフィリングをジャガイモの上に乗せて一緒に焼きました。

【Keikoのひとことアドバイス】

今回フィリングにこだわって作ったら、ぐっと食べ応えのある一品に仕上がりました。やっぱりカット肉って最高!とはいえいつもはひき肉だし、パン粉&ビーフコンソメも入れていません。気楽に作れるところが、肉詰めという料理のいいところですもんね。

ペルーではロコトを茹でる時に塩、砂糖、ビネガーのいずれかを入れるというレシピがほとんどですが、何をどれくらい入れるかは人それぞれで、塩だけ、砂糖だけ、3つとも入れるなどてんでバラバラ。ガストン・アクリオ著のある料理本には『・・・1度目は塩と一つまみの砂糖、ビネガーを入れて・・・でも2度目は塩だけ・・・』とあり、結局何が正しいのやら正直わかりません(ちなみに私は塩を入れたり入れなかったりと、かなり適当)。

日本で入手できるロコトは冷凍のため、フレッシュのものより柔らかいはず。なので茹でる作業は恐らく1度で十分だし、入れるとしたら塩だけでいいと思います。それでも種や隔壁は激辛なので、肌が弱い人は手袋をしたほうが無難。フレッシュなロコトはヘタをカットしただけでもその強烈なカプサイシンの臭気で咳き込むし、隔壁を取る際に飛び散った果汁が頬にでも付着したら、まるでヤケドでもしかのたようにピリピリヒリヒリ!

作るたびに涙を流すのに、なぜかまた作りたくなる。ロコト・レジェーノはまさに魔性のペルー料理ですね(笑)