コロナ狂騒曲のはじまり

2月25日の夜に “南米初感染 ” のニュースが流れてからというもの、一気に緊張感が高まってきたペルー。翌日には市内のマスクが売り切れ、たとえ残っていても値段が3倍に跳ね上がっているという。消毒用アルコールジェルも品薄で、最寄りのスーパーの棚はすでに空っぽだった。

今朝の新聞に、リマのホルヘ・チャベス空港でマスクをする外国人旅行者の写真が掲載されていた。『コロナウイルスの恐怖が到着』なんてタイトルも、否応なしに恐怖心を煽る。ちょうどそんな時に、「ホルヘ・チャベス空港で、アジアからの“個人客”は比較的マスクを着用しているが、“団体旅行客”は着用していないケースが多い」という話を聞いた。団体客こそマスクをしろよー!と憤慨したが、それには訳があるという。

マスクが日常的ではないペルーでマスクを着けていると、それだけで「あいつは病気だ」となる。それがアジア人なら「あいつはコロナウイルスだ」となりかねない。ただでさえ団体行動のアジア人は目立つのに、それが全員マスクを着けていたら一瞬にしてマスコミやSNSの餌食になってしまうだろう。そうしたトラブルを避けるために、「マスクはしないほうがいいかも」とアドバイスする旅行代理店があるというのだ。お客様を守り、快適な旅を提供するためのサービスともとれるが・・・

なんてこった。

在住者同士でも「マスクしたいけど差別が・・・」とチラホラ話題に上る中で、このアドバイスに真っ向から抗議するのは気が引ける。かといって客が無症状感染者の可能性だってあるのに、たまったもんじゃないというのも本音だ。頼むからペルー初の感染者が日本人、もしくは日本から来た外国人となりませんように。もちろん中国・韓国も同様だ。でないと本当にアジア人差別が始まってしまうだろう。

とウダウダ考えているうちに、「アレキパでフランス旅行から帰った17歳の少年が感染疑いで隔離」とのニュースが。一瞬「フランスか・・・」と思った自分に嫌悪する。嫌な人間でごめんなさい。どうか彼が陰性でありますように。どうかペルーで感染が広がりませんように。