大貫良夫と天野芳太郎

日本におけるアンデス考古学の第一人者、大貫良夫教授にお会いした。場所はリマの天野プレコロンビアン織物博物館、教授と天野芳太郎氏の思い出が詰まった大切な場所だ。

大貫教授は文化人類学者にして東京大学教養学部名誉教授、犬山の野外民族博物館リトルワールド館長でもある。加えて天野博物館友の会会長、日本ボリビア協会理事、更に御父上主宰の書道教室代表も兼任。現役バリバリ、御年81歳とは思えない若々しさ。声の張りや立ち振る舞い、もちろん知識と記憶力も素晴らしく、私の名前もすぐ憶えてくださった。すごいの一言に尽きる。

カハマルカ郊外のクントゥルワシ遺跡に向かうために来秘された大貫教授。1988年以降、ほぼ毎年欠かさずペルーに来られているそうだ。その88年とは、東京大学古代アンデス文明調査団がクントゥルワシの発掘を開始した年。翌年にあのまばゆいばかりの黄金製の品々が発見され、一躍脚光を浴びた。

昔のいろんなエピソード、特に天野氏との思い出話は尽きることなく、興味深く拝聴した。考古学はもとより漢詩という共通の趣味があったことで、お二人ならではの関係が生まれたのだという。一芸だけでなく多芸に秀でた二人。天は二物を与えすぎだ。

もっとお話を伺いたかったが時間切れ。ちょうど博物館の1階で天野芳太郎の古い写真を展示(ペルー味の素社創立50周年記念事業の一環)していたので、そのパネルを前に1枚撮らせていただいた。「いやー、この写真はねぇ・・・」と数十年前の画像を前に、あたかも昨日のことのように語る教授。またいつかお話を伺わせてください。

大貫良夫

声をかけてくれたJICAボランティアの矢代君、どうもありがとう。50年ぶりにペルーを訪れたIさん、ちょこっとだけでも会えてよかった。天野の写真もちょうど今週金曜日に撤去とのことで、滑り込みセーフ。この特別展示室だけの見学なら無料なので、お近くの方はどうぞお立ちより下さい。