メトロ1号線第2区間の不思議

先日、久しぶりにメトロ(リマの高架式鉄道)に乗った。相変わらず快適過ぎて、外の景色とのギャップに驚いてしまう。バスなら1時間半はかかる距離を、たった20分で到着。いやはや便利な世の中になったものだ。

ところで以前、「メトロ1号線の第2区間がついに完成。試運転を兼ねて、無料乗車期間が設けられる」と広報されたが、実際には招待客のみということが “後から” 分かった。第1区間が開通した時は多くの一般市民がその恩恵を受けたが、今回は身内へのパフォーマンスのみらしい。お偉いさんや投資家を招待したって、彼らがこの路線の利用客になることはないのにね。

また、「今後は乗車距離に比例した金額に変更される可能性がある」という話だったので、その料金体系を駅員に聞いたところ、「これまで通り、1号線の第1区間内は1.5ソレスのまま、そして第2区間も一律1.5ソレスになる」と言うではないか。1号線とひとくくりに呼んでいるが、要は第1区間と第2区間は別路線ということだ。グラウの1つ手前から乗車して、グラウの次の駅で降りたら3ソレスという訳。なんだか揉めそうな予感だわ。

そんな事を思っていたら、今日はまたびっくりなニュースが入ってきた。リマ北部に「Presbítero Matías Maestro」という巨大墓地がある。1808年に造られたリマ初の公共墓地で、歴史に名を残す有名人も多く眠っている。この墓地を訪れるツアーがあるほど一部は観光地化しているのだが、この墓地にメトロと繋がる階段が敷設されていることが分かったのだ。説明がややこしいので、ぜひこちらの写真をご覧あれ。なんとまあ、墓の上すれすれのところから、無機質な鉄の階段が伸びているではないか。

宗教に関係なく、墓地は神聖なものだと思う。そこをまったく無関係な人間が毎日ドカドカと歩き回るのは、死者に対する冒涜だ。絶対落書きするヤツが出てくるし、ゴミだって捨てるだろう。それを一体誰が管理するのだろう。

メトロの担当者曰く、「この階段については、文化省とも協議して許可を得ている。この歴史的墓地を見学する人にとって、もっとも快適で便利なルートになるだろう」とのことだけど、それ以上に問題ありすぎ。と思っていたら夕方のラジオでも、司会者がメトロの担当者にガンガン突っ込んでいた。「自分の家族の墓の上にこんな階段ができたら、あなたはどう思うか?」って。ごもっともな意見だよね。

文化遺産に気軽にアクセスできるルートを造るのはいい。でもこれはやりすぎだ。この階段の下に眠る故人とその家族が、気の毒でならない。変に目覚めて、ウロウロされませんように。