クスコ地方政府 外国人雇用を条例で規制し物議

クスコ地方政府は21日、新規求人に際し地元労働力を優先的に採用する必要性を表明した地方条例第163-2019-CR/GRC.CUSCOを官報にて公布、これが上位法(労働契約法)に抵触するとして物議を醸している。

同条例の背景に関しクスコ地方政府労働局は、クスコで急増する外国人労働者の違法雇用実態に言及。ペルー人従業員を解雇し、ペルー人の半分から3分の1の給与水準(法定枠外)で働く外国人労働者を代替雇用する使用者の増加が発端と説明している。

これら“非正規”外国人からは所得税の源泉徴収が行われていないことから、同局は政府税収への影響も指摘。さらに、これらの違法な雇用契約に対する新たな罰則規定の適用も検討している。

一方、外国人労働者の雇用に関する法令や規則は労働雇用促進省(MTPE)の管轄であり、本来地方政府はこのような条例を公布する権限を持たないとされる。

国民擁護庁は今回の公布に際し、条例が可決されないよう法案の時点から文書で反対していたが、(クスコ地方政府は)聞き入れなかったと遺憾を表明。公布に至ったのであれば、違憲に関する手続きを進めることになるだろうとしている。

法務コンサルタント企業Payetは、「条文内で言及されている“外国人”労働者とはPTP所持者のことを指しているが、PTP(一時労働許可)の発行対象はベネズエラ人のみ」と懸念されるポイントを指摘。一般人からの提議でこの条例が問題化する可能性を示唆した。

労務専門家のホルヘ・トヤマもまた、国籍による除外は差別につながるとした上で、ベネズエラ人を雇うためにペルー人を辞めさせることとはまた別に、「いかなる恣意的な解雇も国家の手で抑制・統制されなければならない」と明言している。

MTPEのアウグスト・エギグレン副相はこの条例を違憲と捉え、地方政府には労働関連規則を定める権限がないことからもこれを否定。「違憲に関する手続を開始するにあたり、(同条例の)発効を待っていた」とコメントした。

現行労働契約法では、雇用者に占める外国人の比率を5分の1以下、かつ給与総額に占める対外国人支給額は30%以下と定めている。

クスコ地方政府によると、同州で働く外国人は主にベネズエラ人で、月収は概ね500ソレス(法定最低月額給与は930ソレス)。クスコにおける昨年度の同国人PTP所持者はわずか137人、今年度はすでに3200人に達しており、これ以外にも3000人のPTP非所持者が同州に滞留しているという。

(ソース: El Comercio 22/07/19)