シカン遺跡で新たな発見!

チクラヨの北、約31.5kmに広がるポマ森林歴史保護地区。ここはのちのインカに高度な冶金技術を伝えたとされるSicán(シカン文化)が栄えた場所だ。そこでつい先日、山形大学人文社会科学部の松本剛准教授率いるチームが、およそ1000年前の冶金工房と2つの墓を発掘。儀式に使用されるナイフ・トゥミや多数の土器、9体もの人骨を発見した。

ポマの森
Huaca Las Ventanasの頂上から眺めたポマの森。遠くに今回の遺跡発掘現場が見える

今回の発見があったHuaca de la Cruzは、Huaca Loro(またはHuaca El Oro)と、その東に位置するHuaca Las Ventanasの中間あたり。25~30歳くらいの男性の骨格9体分が発掘されたのは、そのワカを5mほど掘り下げた地点からだ。埋葬という形ではなく、重なり合うように置かれていたことから、「おそらく儀式のための生贄だろう」と松本准教授。その上層からはかまど跡やリャマの骨、切れ長のアーモンドアイを持つシカン王の像が配された多数の土器、そして辰砂(しんしゃ)という赤い塗料を塗った頭部とナリゲラ(口元を覆うようにつける鼻飾り)も出土しており、今後の分析が待たれる。7月末から始まった今回の調査は明日9月28日でいったん終了、来年1月から発掘を再開するそうだ。

ワカ・デ・ラ・クルス
実はワタクシ、先月この遺跡を訪れたところだった。その時はまだ60cm~1m(部分的にはもっと深いが)ほどしか掘り進められておらず、あれから1カ月でここまで進んだのかと思うとなんとも感慨深い。もしかしたら私が立ったあの場所から、黄金仮面が出てくるかも!・・・なんて。これは来年も行くしかないな。

ペルー有力紙のほか、海外のマスコミも大きく取り上げた今回の発見。写真やビデオが多数アップされているので、ぜひそちらをご覧あれ。ペルーと日本の考古学の関わりは古く、歴代の日本人考古学者たちがペルー史を塗り替える大発見を幾度もしてきた。その流れが松本准教授を始めとする若い世代にきちんと受け継がれていることが、日本人としてとても誇らしい。考古学ファンの1人として、これからもその活躍を皆さまにお伝えしていく所存だ。

Trome紙のビデオ(発掘現場の様子が分かります)

El Comercio紙の写真(今回の出土品の一部を撮影)

この調査にかける松本准教授の意気込み(2015年に実施したクラウドファンディング)

※10月2日追記:松本先生曰く、各紙の記事内容には発掘場所の名前を始め、間違い箇所が多々あるとのこと。なんてこった、ペルー!ってことで、明らかに間違っている箇所や表記的に誤解を生む箇所には訂正線を引かせて頂きました。後日また改めてご紹介しなおします。ご迷惑をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。