リマのワンマン・コンビにて

コンビに乗った時の話。運賃を払おうとしたら、コブラドール(もぎり兼客引き)がいなかった。どうなってんだ?と思っていたら、赤信号で止まる度に、運転手が後ろを振り返って「金払えー」と言うではないか。どうやらワンマン・コンビのようだ。

それにしても、金払えったって、こんなに狭い車内じゃ身動きも取れない。それに大型バスならいざ知らず、コンビのドアは手動だ。客はどうやって乗降するのだろう?そう言えば、私が乗った時は誰が開けてくれたんだろう?

と思ってみていたら、運転席の裏側の一番ドア寄りにいたお兄ちゃんが、ドアを開けているではないか。しかし彼がコブラドールとは思えない。白人系+きりっとしたワイシャツを着たコブラドールなんて、はっきりって見たことない。

ちなみに、ドアを閉めていたのは運転手だった。ドアに繋げた黒いゴム紐(上記写真参照)を引っ張って閉めていた。これでは、ドアは閉まるが開くわけがない。工夫したように見えてどこか足りないのは、ペルーのデフォである。

ただ単にいい人だった彼は、開かないドアの向こうで戸惑う人を見ていられないらしく、「俺はコブラドールじゃないのに・・・」と言いながら、乗ってくるお年寄りを助けていた。他の乗客も、「ちょっとjoven(若者)、このお金を運転手に渡してちょうだい」と使いたい放題である。お兄ちゃんはその度にぶつぶつ言っていたが、結局は自分が降りる直前まで、素晴らしいボランティア精神を発揮していた。

ついに彼が降りる時が来た。私は「Gracias joven」と呟いた。隣の女性も「本当にありがと~」と声をかけた。車内がふわっと柔らかい空気に包まれる。こういう瞬間が私は大好きだ。

そして、私が降りる番に。ドアを開けようとしたが・・・うっ重い、開かない。運転手に「どうやって降りるのさー!」と文句を言ったら、他の人が手伝ってくれた。こうして親切は回っていく。己の権利は大げさすぎるほど主張するが、自分と利害関係のない第三者が困っている時は、さっと助けてくれる愛すべきペルー人たち。だからここに戻ってくると、ほっとするのだ。

そもそも、コブラドールを乗せていない運転手が悪いって?仰る通り。でも私が言いたいのはそういうことではなくて、ペルーってダメダメなんだけど、いつもなんだかほっこりすることが転がってるって言いたいわけです。

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