サイクロンの影響 ペルーのシカン遺跡にも

先史時代の遺跡にも、サイクロン「Yaku(ヤク=ケチュア語で水の意味)」の影響が及んでいる。ペルー北部、ランバイエケ州に位置するポマの森では、ラ・レチェ川の増水によりシカン文化の墓所にも危機が迫っているという。

ポマの森の管理責任者シリー・ベレナベ・オレジャーナは、ラ・レチェ川の増水により、イリモとトゥクメの谷への灌漑水路にあたるワカ・ラ・クルスの堰が、およそ250メートルにわたって崩れたと説明している。

「国立シカン博物館のカルロス・エレラ館長によると、シカン文化の墓所であるネクロポリスのうち、ワカ・ラ・メルセーに隣接するほぼ1ヘクタールの土地が被害を受けている模様です。サイクロン・ヤクによるラ・レチェ川の増水で、すでに相当な影響が出ているようです」とベレナベ氏は話す。

黄金のワカ(ワカ・ロロ)に迫る危機


ベレナベ氏は、遺跡一帯を保護していた堰が破壊されたことで、セニョール・デ・シカンが発見された黄金のワカ(トップ写真)にも危機が迫っていると警告する。

「前方の右岸側には、シカン文化遺跡群の核となる黄金のワカがあります。このワカはラ・レチェ川から50メートルほどの距離にあるのですが、堰が壊れたため危険な状態にあります」と同氏は述べ、国家自然保護区管理事務局(SERNANP)も現状を危惧していると強調した。

「世界遺産への登録を目指ずこの遺跡の保護に向け、すでに私たちは警戒態勢を敷いています。黄金のワカに近い場所では陥没による穴が発生しつつあり、地下遺構への影響が心配されます」

(ソース: RPP 16/03/23)