Cebiche de Pollo セビーチェ・デ・ポヨ

ペルーの文化遺産にも登録されている、魚介類のレモンマリネ「Cebiche(セビーチェ)」。ペルー人の誇りであり、彼らのアイデンティティを形成する要素のひとつといっても過言ではありません。この国民的料理を魚介類だけで楽しむのは勿体ない!と思った人がいたのでしょう、ペルーにはなんと鴨や鶏肉のセビーチェまであるんです。

鴨を使ったCebiche de Pato(セビーチェ・デ・パト)は、リマ州北部のワウラ郡やバワンカ郡の海岸エリアを指すノルテ・チコの名物料理で、私が初めてセビーチェ・デ・パトを食べたのも、同エリアのワラルという町でした。「鴨のセビーチェ?まさか生肉じゃないよね~」なんて内心ドキドキしたのに、出てきた料理をみて拍子抜け。当時はペルー料理のイロハもなくてどうやって作るのか想像すらできませんでしたが、とても美味しくて感動したことはよく覚えています。

そして、そのお手軽版が今回ご紹介するCebiche de Pollo(セビーチェ・デ・ポヨ)。鶏肉はお財布にも優しいので、こちらのほうが家庭料理っぽいかもしれません。

セビーチェ・デ・パトやセビーチェ・デ・ポヨの由来は分かりませんが、もともと鴨肉はオレンジやレモンなどの柑橘系と相性がいいし、もしかしたら魚介類を使ったセビーチェから派生したものではなく、フランス辺りから伝わった鴨のオレンジソース煮などをアレンジしたのかも?なんて思います。もしそうだとしたら、これはネーミングの勝利。だって “セビーチェ” とついた料理を批判するペルー人なんていませんからね。

レモンとアヒで仕上げる夏にぴったりの爽やかな一品で、日本人の味覚にもよく合うと思います。「セビーチェが食べたいけど、冷凍庫にシーフードがなーい」なんて時にぜひお試しください。

【材料】2人分

  • 鶏肉(胸でもモモでも)300~400g
  • たまねぎ 大1/2個
  • すりおろしニンニク 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大2
  • アヒ・アマリージョ 1/2~1/3本
  • レモン汁 大1~1.5
  • カルド・デ・ポヨ(チキンブイヨン) 200ml
  • クラントロ(コリアンダー) 少々
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • オプション:水溶き片栗粉、アヒ・リモ
  • 付け合わせ:ご飯、茹でたジャガイモ、ユカ芋、カモーテ(サツマイモ)など

【作り方】

1、鶏肉を適当な大きさにカットして、塩コショウ、クミンとレモン汁少々(分量外)を振っておく。

2、たまねぎの約半分をみじん切りに、残りをくし切りにする(玉ねぎの外側をくし切りにすると仕上げがきれい)。アヒ・アマリージョを細切りにしておく。

3、鍋に油を敷き、1の鶏肉を入れ表面を軽くやきつけ、いったん取り出しておく。火の通りが早い鶏むね肉を使う場合は、この作業は省いてもよし。

4、アデレソを作る。3の鍋に油を適宜足し入れ、たまねぎのみじん切りとたまねぎの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。たまねぎが透明になったらニンニクを入れ、次にアヒ・アマリージョペーストを入れてよく炒める。塩コショウ、クミンを適量入れてよく混ぜ合わせたらアデレソのできあがり。

5、4のアデレソに鶏肉とカルドを加え、蓋をして鶏肉に火が通るまで加熱する。時々水分をチェックして、焦げ付きそうならカルドか水を少量加えて調整する。

6、鶏肉に火が通ったらくし切りにしたたまねぎと細切りのアヒ・アマリージョ、レモン汁を加え、たまねぎが好みの硬さになるまで加熱する。シャキシャキがお好きなら蓋をして余熱で火を通すだけでもよし。辛いのが好きな人は、ここでアヒ・リモを追加してもいい。

7、たまねぎが好みの硬さになったら刻んだクラントロを加える。とろっとしたソースに仕上げたい人は、水溶き片栗粉で軽くとろみをつけて。最後に塩コショウ、レモン汁を追加するなどして味を調えてできあがり。ご飯と茹でた芋類を添えて召し上がれ。

【Keikoからひとこと】

とっても簡単なセビーチェ・デ・ポヨ。爽やかだしおしゃれ感もあるので、おもてなし料理としてもいいかもしれません。

セビーチェ・デ・ポヨにはいろんなレシピがありました。例えば茹でて細かく裂いた胸肉をレモン汁とアヒ、千切りのタマネギで和えたものはまさにセビーチェそのもの。他の野菜も加えれば、サラダ感覚で頂けます。

そういえばリマの某有名レストランのシェフが、Ceviche de Cerdo(セビーチェ・デ・セルド=豚肉のセビーチェ)なるものをyoutubeで紹介していてびっくり!しかも豚肉を加熱せず、ただクラントロやニンニクを加えたソミュール液に漬け込んだだけの生肉を使っていたんです。さすがに「豚肉は生では食べれないよ!」とのコメントがちらほら。ペルー人のチャレンジ精神は賞賛に値しますが、皆さまはどうか真似をなさいませんように(苦笑)。

※cebicheでもcevicheでも間違いありませんが、La Real Academia Española (RAE)には「cebiche」とあり、「cevicheとも書く」と表記されています(sebicheとsevicheもあるが滅多に使われない)。ということで当サイトでは基本的にcebicheで統一、個別案件の時はそれに準じています。

モバイルバージョンを終了