Parihuela パリウエラ

ペルー版ブイヤベース、Parihuela(パリウエラ)。ペルー料理好きにも特に人気の一品ではないでしょうか。港町カリャオの漁師たちが作ったのが始まりというだけあって、海の幸が満載。できれば大量に作って漁師鍋風に、豪快に頂きたい料理です。

ところで。スペイン語ネイティブでない私は “パリウエラ=ペルー版ブイヤベース” とインプットしてしまっていたので、その名前に何の疑問も抱いていませんでした。ところが今回改めて調べてみたら、そもそもparihuelaとは “担架” または “荷物の運搬に使用するパレット” のことなんですね。

それがなぜ料理名になったのか?一説によると、『お腹を空かせた漁師たちが「おい、パリウエラ(に残った魚)でも食べようぜ」と言い合ったのが始まり』なのだとか。なんでも漁師が魚を運ぶための容器にも “パリウエラ(ボックスパレット)” と呼ばれるものがあるんだそうです。うーん、もう少しおしゃれな呼び名はなかったんでしょうか(笑)

私にとってば “パリウエラ” はこの魚介スープ以外の何モノでもありませんが、隣国から来たラティーノスたちは一瞬「ん?」って思っているのかも?ペルー人の料理命名センスには、毎回驚かされます。

【材料】2人分

  • カニ 1匹
  • 皮付き白身魚 2切れ(尾頭付きなら尚よし)
  • タマネギやニンジン、ポロ、セロリなどのクズ野菜(カルド用) 少々
  • コンチャ・デ・アバニコ(ホタテ)やチョロ貝(ムール貝)、アサリ、茹でタコ、イカ、エビなどお好きなシーフード 適量(今回はシーフードミックス+エビで300g、ムール貝6つ、ホタテ4つを使いました)
  • コチャユーヨ(海藻) 少々
  • タマネギのみじん切り 1/4個
  • すりおろしニンニク 大1/2
  • アヒ・パンカペースト 大1
  • アヒ・アマリージョペースト 大1
  • トマト 1/2個
  • トマトペースト 大1
  • チチャ・デ・ホラ、またはビール+リンゴ酢 or 白ワインビネガー 50ml
  • カルド・デ・ペスカード、またはフィッシュブイヨン 800~900ml
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • 水溶き片栗粉 適量
  • クラントロ(コリアンダー) 適量
  • オプション:茹でたユカ芋
生きが良すぎて処理するのに手間取りました・・・南無~。

¡新食材! 】Cangrejo peludo(カングレホ・ペルード/毛ガニ)について

ペルーで現在確認されている15種の短尾下目(いわゆるカニ)のうちの1つで、ラ・リベルタからタクナまでの沿岸の、主に水深4~8mあたりに多く生息。peludo(毛深い)の名の通り、全体が短い産毛で覆われています。

近所のメルカドで売っているのは手のひらサイズで、大きさ・重さによって3~8ソレス。今回のは15cm以上もある大きめの個体だったので身もたくさんありましたが、10cm以下のはほとんど食べるところがないので、出汁用と割り切って大胆に使っちゃいましょう。

【作り方】

1、【尾頭付きを使う場合】白身魚を3枚におろし、身は皮付きのまま別皿に取っておく。鍋に1リットル強の湯を沸かし、魚のアラとクズ野菜、塩少々を入れて一緒に茹で、カルド・デ・ペスカード(フィッシュブイヨン)をつくる。生のムール貝を使う時は魚のアラと一緒に入れ、貝の出汁も一緒に取るといい。ただし貝が硬くならないよう、口を開けたらすぐ取り出しておくこと。アラからいい出汁が取れたら火を消し、カルドを漉しておく。
【切り身を使う場合】水少量にクズ野菜を入れて沸かし、ムール貝を入れる。貝が開いたら取り出し、カルドを漉しておく。それとは別にインスタントのフィッシュブイヨンを用意しておく。

2、ブラシ等でよく洗ったカニのふんどし(前かけ)を外し、その穴に親指をつっこんで甲羅をはずす(カニ味噌をこぼさないように!)。胴体についているひだの部分(がに)を指かハサミでカットして取り除き、もう一度胴体に甲羅をはめておく。エビもよく洗って殻を剥き、背ワタを取っておく。

3、アデレソを作る。深鍋に油を敷き、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。タマネギが透明になったらニンニクを入れ、次にアヒ・パンカペーストとアヒ・アマリージョペーストを入れてよく炒める。皮と種を取ってみじん切りにしたトマトとトマトペーストを加えて更に炒め、塩コショウ、クミン、オレガノを適量入れてよく混ぜ合わせたらアデレソのできあがり。

4、3にチチャ・デ・ホラとカルド・デ・ペスカード(ムール貝のカルドも)を入れ、一度沸騰させる。沸騰したら2のカニを入れ、甲羅の色が変わったら魚の身を崩さないよう、白身魚をそっと入れる。

5、魚にほぼ火が通ったら、残りの魚介類を加える。殻付きエビやコチャユーヨを先に、コンチャ・デ・アバニコやイカは火の通りが早いので注意して。すでに火が通っている茹でタコやムール貝は一番最後に加えよう。

6、魚介類にほぼ火が通ったら塩コショウで味を調え、水溶き片栗粉でとろみをつけ、刻んだクラントロを散らしてできあがり。

【keikoからひとこと】

以前ご紹介したスダードのスープが多いバージョン、チュペ・デ・カマロネスのミルクなしバージョンといった感じのパリウエラ。ペルー料理を作り続けると、今まで何気なく食べてきた料理の特徴や違いが再確認できてとても学びになります。

それにしてもパリウエラって贅沢な料理ですよね。カニに魚にマリスコスもふんだんに入っていて、そりゃ美味しくないわけがありません。でもこれだけの材料を一度に全部用意するのは大変です。なので私は魚を丸ごと一尾買った時や、ムール貝をまとめ買いした時にカルドを作って、200mlずつくらいに分けて冷凍しています。特にムール貝のカルドは最高!カニを使っておいてなんですが、無理して大きなカニを使うより、ムール貝をたくさん使ったほうが絶対美味しいと思います。

あと、スープにとろみをつけるかどうかはお好みでどうぞ。私はとろみをつけるほうが断然好き。冷めにくくなるのもメリットです。寒い日にとろとろ濃厚なパリウエラをぜひどうぞ。

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