Pescado a lo Macho ペスカード・ア・ロ・マチョ

白身魚のフライにロコトの辛味が効いた海鮮ソースをたっぷりかけた、Pescado a lo Macho(ペスカード・ア・ロ・マチョ)。“macho=男らしい、頼もしい、または逞しい男性” なので、無理やり訳すと “白身魚のヤロウ風”?

一説によると「こんなパンチの効いた料理を最後まで食べきれるのは、マッチョな男だけ」だからこう呼ばれるのだとか。 確かに仕上げにロコトを入れるので、ピリッとした辛味はあります。ただそうはいっても生クリームのマイルドさでその辛さもだいぶ相殺されており、辛いもの好きの私にはいまいちピンときません。

アヒ(トウガラシ)をこよなく愛するとはいえ、ペルー人の辛さへの耐性はアジア人ほどではありません。なのでマッチョ向きの料理というより、単にペルー人女性が辛いものが苦手なだけかもしれませんね。

名前の由来はほかにもあって、「1950年代に “マチョ・フリアス” の名で知られた市民警備隊の司令官が創作した」というものもあります。いずれにせよ今の時代、少なくともヨーロッパではあまりいい意味で使われないであろう、machoという言葉が大手を振っていられるのはラテンアメリカならでは。ジェンダー論はさておき、マッチョ魚をさっそく作ってみましょう!

【材料】たっぷり2人分

  • 白身魚 2切れ(300g前後/今回はイボダイ科のcojinovaを使用)
  • シーフードミックス(エビ、イカ、タコ、アサリ、ムール貝、ホタテなどお好みのもの) 300g
  • タマネギのみじんぎり 1/4個分
  • すりおろしニンニク 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大2
  • アヒ・パンカペースト 大1
  • 種を取ってざく切りにしたトマト 1個分
  • トマトペースト 大1/2
  • セロリ 20g
  • カルド・デ・ペスカード(フィッシュブイヨン) 100ml
  • 白ワイン 大2~3
  • バター 大1
  • 刻んだペレヒル(イタリアンパセリ) 1/4カップ
  • 生クリーム 50ml
  • ロコトの輪切り 1枚、またはアヒ・リモ 少々
  • レモン汁 大1/2 
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ、小麦粉、コーンスターチまたは片栗粉 適量
  • 付け合わせ:ユカ・フリータ(ユカ芋フライ)、またはポテトフライ

【作り方】

1、生のムール貝、アサリを使う場合:ムール貝とアサリは殻の汚れや砂を取り除き、ひたひたの水と白ワイン少々(分量外)で加熱する。開いた貝から順に取り出し、貝の煮汁も別に取っておく。あとで食べやすいよう、貝の半分は殻から身を取り出しておくといいだろう。

2、殻付きエビを使う場合:エビはよく洗って殻をむき、殻と身を分けておく。フライパンで殻だけを乾煎り(最初から油を加えると水がはねるので)し、ある程度乾燥したらオリーブオイルを加えて炒め、水を適量加えて殻が柔らかくなるまで茹でる。水分ごとミキサーにかけてザルで漉し、エビ殻エキスを作る。ムール貝やアサリの煮汁とともにカルドに加えると、ワンランクアップの美味しさに!

3、魚の両面に塩コショウとすりおろしニンニク(分量外)を軽くなじませ、小麦粉を薄くまぶして油でカラッと揚げる。事前に茹でて冷ましておいたユカも一緒に揚げる。

4、アデレソを作る。鍋に油を入れて熱し、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを入れてよく炒める。タマネギが透き通ってきたらニンニクを入れてよく炒め、アヒ・アマリージョペーストとアヒ・パンカペーストを加えてさらに炒め合わせる。カットしたトマトとトマトペースト、セロリを加えてよく炒める。塩コショウ、クミン、オレガノを加えたらアデレソのできあがり。これをミキサーにかけ、次の工程までそのままにしておく。

5、3の鍋に油とバターを入れて熱し、背ワタを取ったエビやイカなど生のシーフードをさっと炒め、ペレヒル半量と白ワインを加えてアルコール分を飛ばす。すでに火が通っているムール貝やアサリはまだ入れなくていい。

6、4の鍋にミキサーに入っているアデレソを戻し、カルド・デ・ペスカードを加えて加熱する(1と2で作った煮汁があればそれもここで加えて)。ソースが煮立ってきたらムール貝やアサリなど加熱済みの魚介を入れ、生クリームとロコトの輪切りを加え、塩コショウで味を調える。

7、最後に水溶きコーンスターチを加えて好みの濃度に仕上げ、残りのペレヒルとレモン汁を振りかけたら出来上がり。皿にご飯と魚のフライ、ユカ芋のフライを盛り、ソースをたっぷりかけて頂こう。

【Keikoからのひとことアドバイス】

「おうちでペルー料理」にお付き合いくださっている方ならもうお気づきでしょうが、ペルー料理におけるカルド(出汁、スープ)はとても重要。ペルー人は鶏も魚も骨付きを好んで購入し、一定量が貯まったらクズ野菜と一緒に茹でて美味しいカルドを作ります。

今回はムール貝やアサリ、エビなどをまとめ買いしたので、それぞれを茹でてカルドを作り、魚の出汁に合わせました。何重にも重なり合う魚介類の旨み!これは癖になりますね~。時間のある時にまとめて作って小分けして冷凍しておけば、その時々に仕えて便利です。エビの殻だけでも十分美味しいので、ぜひ捨てずにカルドを作っておいてくださいね。

ペスカード・ア・ロ・マチョに似た料理にPescado en Salsa de Mariscos(ペスカード・コン・サルサ・デ・マリスコス)というのもあります。ロコトが入る分、ペスカード・ア・ロ・マチョのほうが少し辛いかな?どちらも海の幸満載でとても美味しいです。ペスカード・コン・サルサ・デ・マリスコスもまた後日ご紹介しますね!