Aguadito de Pollo アグアディート・デ・ポヨ

Aguadito(aguado= “水っぽい” の縮小辞)と聞くと、さっぱりしたお吸い物的なものをイメージしませんか?関西弁でいうなら「しゃばしゃばなやつ」とでもいいましょうか。料理名にこういうマイナスイメージのある単語が使われていると、一瞬躊躇してしまいますよね。

でもAguadito de Pollo(アグアディート・デ・ポヨ)は、しゃばしゃばどころか具がいっぱい!クラントロ(コリアンダー)ベースのスープに鶏肉とお米、野菜がたっぷりで、時には鶏モツまで入っています。水っぽさの対局にある濃厚スープ。だからこそなぜこういう名前なのか、ずっと不思議でなりませんでした。

その答えはあるweb掲示板にありました。ある人が、私と同じ疑問を問いかけていたのです。複数あった答えを要約すると、

『この料理はもともと “Aguadito de Arroz con Pollo=しゃばしゃばのアロス・コン・ポヨ” なんだよ!』

言われてみれば、確かに材料はアロス・コン・ポヨとほぼ同じ。なんとアグアディート・デ・ポヨは、ペルー版クラントロ雑炊だったんですね~。はなっからスープと思い込んでいたためずっと謎でしたが、雑炊と聞いて納得です(とはいえどう見てもスープとしか思えない=具が少ないアグアディートを出す店も結構あるんですけどね・・・)。長らくの疑問が溶けた途端、親近感が湧いたのはいうまでもありません。

【材料】たっぷり2人分

  • 鶏むね肉(できれば骨付き) 80~100g(今回は手羽元2本使用)
  • タマネギのみじん切り 1/4個
  • すりおろしニンニク 小1
  • アヒ・アマリージョペースト 大1
  • クラントロ(コリアンダー) 約70g
  • クラントロをミキサーにかけるための水 クラントロと同量
  • カルド・デ・ポヨ 800~1000ml
  • 米 80~100g
  • ニンジン、グリーンピース、セロリ、トウモロコシの粒、パプリカ 各1/4カップ(30~40g)
  • ジャガイモ 小2個
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • オプション:鶏の砂肝、ハツ、レバーなどのモツ類、レモン、サルサ・デ・アヒ

【作り方】

1、ニンジンとセロリは小さめの角切りに、パプリカは細切りにしておく。ジャガイモは皮を剥いて2つに切る。クラントロと水をミキサーにかけクラントロ液を作っておく。

2、鶏肉を食べやすい大きさにカットし、塩コショウとクミン、すりおろしニンニク(分量外)を軽く揉みこんでおく。骨付き肉の場合は骨に沿って切り込みを入れておくと早く火が通る。鶏モツを入れる場合は、それぞれよく洗って血や筋、汚れを取り除いておく(今回はmolleja=モジェハ・砂肝だけ投入)。

3、鍋に油を入れて熱し、軽く塩コショウを振った鶏肉を入れて全体に焼き色を付け、取り出す(ここでは完全に火が通らなくても大丈夫)

4、アデレソを作る。3の鍋に油を少量足し入れ、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。タマネギが透明になったらニンニクを入れ、次にアヒ・アマリージョペーストを入れてよく炒める。1のクラントロ液の半量を加えてさらに炒め合わせ、塩コショウ、クミン、オレガノを適量入れてよく混ぜ合わせたらアデレソのできあがり。

5、4の鍋に3の鶏肉を戻してアデレソをよく絡め、1のカルドをまず700ml程入れて一度沸騰させる。カルドが沸騰したら米とジャガイモ以外の野菜を入れる。10分ほどで米の表面が透明に、でも中はまだ芯が残るくらいになってくるので、ここでジャガイモと鶏モツ(オプション)を入れてジャガイモに火が通るまで10分ほど加熱する。米がスープを吸っていくので、様子を見ながら残りのカルド(または水)を適宜足していこう。

6、米が十分柔らかくなり、ほかの具材にも火が通ったら残りのクラントロ液を加えて色鮮やかに仕上げ、最後に塩コショウで味を調えたらできあがり。レモンとお好きなサルサ・デ・アヒを添えて召し上がれ。

【Keikoからのひとことアドバイス】

鶏肉の出汁がしっかり出るよう、骨付き肉がオススメ。でも食べやすさを考慮するならもも肉を小さくカットしてもいいし、さっぱり仕上げたい場合は胸肉でも美味しいです。胸肉は加熱しすぎるとパサつくので、ジャガイモを入れるタイミングで投入するといいでしょう。

またお米が水分をどんどん吸っていくので、カルドは多めにご準備ください。鍋底が焦げつかないよう、混ぜる時は底からしっかりかき混ぜて。出来立てを召し上がって頂くのが一番ですが、再加熱する可能性がある場合は米の量を減らすかカルドの量を増やさないと、雑炊ではなくリゾットになってしまいます。まあそれはそれで美味しいんですけどね。

アグアディート・デ・ポヨはレチェ・デ・ティグレ同様、levanta muertos(レバンタ・ムエルトス:あまりの美味しさに死者さえ起き上がるという意味)に認定されていますが、これ自体はさほどインパクトの強い料理ではありません。

死者を叩きおこすには、やっぱりレモンとサルサ・デ・アヒが必須!ということで今回私は、自宅に残っていたグリーンのロコトとグリーンのアヒ・リモ、タマネギ、ニンニク、オリーブオイル、ワインビネガー、塩コショウをサクッとミキサーにかけたものを添えました。面倒なら刻んだアヒだけ十分美味しいです。

さっぱりレモンとピリッと辛いサルサ・デ・アヒは、まさに日本の雑炊におけるゆずや七味と同じ。ぜひご準備くださいね!

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