Caigua Rellena con Pepián de Choclo カイワ・レジェーナとペピアン・デ・チョクロ 前編

Caigua(カイワ)という野菜をご存知ですか?アンデス原産のウリ科植物で、古代アンデス文明の土器にも登場する黄緑色の野菜です。孫悟空が乗るきんと雲のような形で中は空洞、真っ白でユニークな形の胎座には、これまた独特の形状をした真っ黒な種がついています。本当になんて不思議な野菜でしょう!

ちょっと気の抜けたような姿かたちのカイワですが、侮るなかれ。ウリ科植物のカイワは低カロリーでビタミンやミネラル、繊維が豊富。カイワに含まれるβ-シトステロール-3Dグルコースは血中のコレステロール値を下げ、糖尿病や動脈硬化の予防にも効果的です。また血流をよくし心臓病や冠静脈疾患の発生を抑制、血圧を安定させるという働きもあります。さらに脂肪を燃焼させ新陳代謝を高めるという働きまであるんですよ。これだけ身体に良いのにダイエットにまで効くって、すごくないですか?

カイワは詰め物料理に使われるほか、生食可能なのでサラダにも最適。カイワ自体にほとんど味がないので、それこそ水分の少ないキュウリのような感覚で使えます。ペルーが生んだこのスーパーフード、日本でもぜったい人気がでると思うので、いつか輸出されるようになるといいなぁ。

ちなみに日本語でこの野菜を検索するとなぜか「カイグア」と出てきますが、caiguaの“g”は発音しません。日本語にはアクセントや無声破裂音などがないため、外国語をカタカナに置き換えること自体が難しいんですよね(“カイワ”だって本当に正しい発音かといわれると微妙)。でも「カイグア」じゃさすがに別物でしょう・・・。あと「インカキュウリ」ってのもありました。もう安直すぎ!(爆)

言いたいことはたくさんありますが、それはさておき本日のレシピと参りましょう!「日本でカイワは入手できないのに・・・」なんておっしゃらず、想像力マックスでお付き合い頂ければ幸いです。

【材料】カイワ・レジェーナ2人分

  • カイワ 2個
  • カツオ 300g
  • タマネギのみじん切り 1/2個分
  • ニンニクのすりおろし 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大2
  • アヒ・パンカペースト 大1
  • 種を取り除き小さくカットしたトマト 小1個分
  • 茹でたグリーンピース 20g
  • パン粉 10g
  • フィッシュブイヨン 100~150ml
  • レーズン ひとつかみ(25g前後)
  • ケソ・フレスコ 30~40g
  • 茹で卵 1個
  • 牛乳、塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • オプション:ニンジン、ブラックオリーブなど

【作り方】

1、カイワを洗い、先端のとがった部分から3~4cmのところをカットし、中の胎座と種を取り出しておく。カツオを粗みじんに切っておく。パン粉を適量の牛乳に浸してふやかしておく。

2、アデレソ(調味ペースト)を作る。カイワが2つ並ぶくらいの大きさの鍋に油(分量外)を入れ、タマネギを炒める。タマネギが透き通ってきたらニンニク、アヒ・ペースト、トマトを入れ、その都度よく炒める。塩コショウとクミン、オレガノで軽く味を調えたら味の決め手となるアデレソのできあがり。

3、2にカツオを入れてよく炒め、グリーンピースとレーズンを加える。ここで小さくカットしたニンジンや、刻んだブラックオリーブを入れてもいい。

4、3のフィリングを大さじ2~3杯分だけ別皿に取り分けておく。取り分ける量はだいたいでいいが、鍋に残ったフィリング+5の材料をカイワに詰めることをイメージして。

5、4の鍋に牛乳で柔らかくしたパン粉を入れて、よく炒め合わせる。そこに粗く刻んだ茹で卵とケソ・フレスコを加えてざっと混ぜたらフィリングの完成。カイワの中にフィリングをしっかり詰め、いったん別の皿に取っておく。もし具材が全部入りきらなくても、そのまま鍋に残しておいて問題ない。

6、5の鍋に4で別取りしておいたフィリングを戻し、フィッシュブイヨンを加えて一度沸騰させる。鍋の周りにこびりついた軽いおこげもうま味がいっぱいなので、ブイヨンでこそぎ落として。

7、6の鍋にカイワを2つ並べて蓋をして、10分ほど煮込む。途中でカイワの上下をひっくり返すが、この時カイワの詰め物がこぼれないよう慎重に。また水分がなくなりそうならブイヨンか水を少し足そう。

8、カイワに串を刺してみて、柔らかくなったらカイワ・レジェーナの完成。皿にご飯とペピアン・デ・チョクロを盛り、カイワ・レジェーナを置いて上から鍋に残ったソースを回しかけたら出来上がり。

【Keikoからひとことアドバイス】

私がこの料理と初めて出会ったのは10年ほど前、ペルー北部海岸エリアの街フェレニャフェに滞在していた時でした。当時、アメリカ南イリノイ大学の島田泉教授の下でシカン遺跡の発掘調査に訪れていた現・山形大学准教授の松本剛氏に「ここが旨いんですよ!」と連れて行ってもらった食堂のランチメニューにあったんです。

ランチメニューは当時としても激安の4ソレス(約120円!)ペルーの食堂は侮れません。

そこで松本氏イチオシの「Albondigas de Bonito(アルボンディガス・デ・ボニート/カツオの肉団子)」を注文。果たして出てきたのは、ご飯と煮豆、そしてクタクタになった不思議な野菜の煮物でした。どこがアルボンディガス(肉団子)なの?と思ったけれど、一口食べたらそんな不満はどこへやら。クタクタの野菜(カイワ)の中にひき肉状になったカツオが詰まっており、それがまたえもいわれぬ美味しさで、あっという間に完食したものです。

食堂のメニューなので、フィリングたっぷりというわけにはいきませんが、その分お味は最高でした。

そう、それがカイワ・レジェーナだったんですね。そんな思い出から今回はカツオを使いましたが、一般的にはひき肉を詰めることが多いです。でもこのカツオを使ったフィリングは他の料理にも応用できそうなので、ぜひ作ってみて下さいね。私も今度はズッキーニに合わせてみようかな~なんて思っています。

後編では、付け合わせのトウモロコシを使ったピューレ、「ペピアン・デ・チョクロ」をご紹介します。こちらもペルーらしさ満点!お楽しみに。

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