初めての団体旅行 ~モロッコ・スペイン・ポルトガルとおまけのベルギー~

大学1年の暮れに、友人から「オフシーズンで料金が安いからどう?」とヨーロッパ旅行に誘われた。その名も「モロッコとポルトガル、哀愁のバルセロナ スペイン・アンダルシア15日間」添乗員・全食付きで28万3000円なり。年末年始は更なるバイトに明け暮れた。

参加者31名中8割がおじさん・おばさんという中、現役女子大生というだけで実力以上の価値が付加されるのは今も当時も変わらない。現地ガイドは私たちにばかり親切で、名所に入るのも、お店で味見させてもらうのも常に優先してくれた。意味もなく肩を組まれたり、写真を撮るときに顔を近づけてくることが彼らにとっての見返りだったと気づいたのは随分あとだったが、それを差し引いても余りあるほどのメリットを享受できたのは事実だ。

私にとってのこのツアーの一番の目的は、なんといってもモロッコだ。生まれて初めて体験した異国文化がアラブ世界だったことは、後の私に少なからぬ影響を与えた。行く先々でイスラム建築の美しさに圧倒され、マラケシュにある世界最大規模と称されるメディナのスークでは見事な民芸品に目を見張った。

モロッコで最もインパクトがあったのは、フェズ旧市街の皮なめし工場である。生乾きの皮と薬剤の耐えがたい臭いの中で、黙々と作業に励む人々。足元は血とも動物の体液ともわからぬものでヌルヌルしていた。呆けたアジア人観光客に笑顔で手を振ってくれる人もいたが、その存在を完全に無視する人もいた。完全に観光地化されていて写真も自由だったが、さすがに体の数倍もある牛の皮を引きずるように運ぶやせ細った少年の姿は撮れなかった。社会階層というものについて思いを馳せたのは、もしかしたらこの時が初めてだったかもしれない。とにかく強烈な光景であったのは確かだ。

スペインはまずグラナダのフラメンコ&アルハンブラ宮殿から開始。コルドバのメスキータ、セビリアのアルカサルとスペイン広場、カテドラルやヒラルダの塔をまわって、ここでポルトガルへ。ポルトガル民謡ファドの夕べ、ロカ岬、シントラ城、エンリケ航海王子の像などを見学。どれも素晴らしかったが、フェズで体験したような心の揺れはなかった。大の日本史ファンだった私は西洋史についてはほとんど無知で、予備知識が足りなかったこともある。せめてレコンキスタから新大陸発見とその植民地時代、「太陽の沈まぬ国」と称えられたフェリペ2世の時代あたりまで勉強していれば、この旅もずいぶん違ったものになっただろうに。今ならきっとペルーの歴史と重ねつつ眺めることもできるだろう。あぁ、がぜんスペインに行きたくなってきた。

ふたたびスペイン、マドリードへ。プラド博物館のゲルニカに圧倒されたが、こちらも勉強不足でその意を汲むにはあまりに幼稚すぎた。心のどこかに「これはすごいものだから感動しなきゃ」という気持ちがあったことは否めない。くぅ、やはりもう一度スペインへ!

自由行動でプエルタデル・ソルを散策、忠犬ハチ公ならぬ子熊の像の前でパチリ。トレドの小道でさんざん迷ったあとは、エル・グレコの家やカテドラルへ。バルセロナではもちろんガウディ三昧で、こちらは素直に楽しむことができた。サグラダ・ファミリアはまだあの4本の塔しかなく、外観も今とはずいぶん違ったなぁ。コロナで一時中断しているとはいえ、あれから30年以上も建築を続けてきた関係者たちに心からの敬意を表したい。

最後に立ち寄ったブリュッセルで、「世界で最も美しい広場」と称えられるグランプラスにあるゴディバ本店へ。今では通販で気軽に入手できるようになったゴディバも当時は高根の花、誰もが憧れる高級ブランドだ。折しもこの日はバレンタインデー前日だったこともあり、豪華すぎる装飾に“ベルギー王室御用達”という単語が頭の中をリフレインする。名所旧跡を巡る旅の最後の締めがチョコレートとイケメンという最高の旅に、友人ともども大はしゃぎだった最終日の夜。本当に楽しい15日間だった。

帰国後はツアーで仲良くなった70代のご夫婦の家に友人と遊びに行ったほか、手紙のやり取りも続いた。この旅行をきっかけに、私の興味はがぜん海外へと向かっていく。帰国後、大学で所属していた自動車部の部活中に物損事故を起こした私は、両親が立て替えてくれた自動車の修理代返済(ありがたいことに無利息)のため退部、2年の春から本格的なバイト生活へと突入した。返済が終わったら次はどこへ行こう?そんなことばかりを考えるどうしようもない大学生。学業そっちのけだったことに多少の後悔はあるが、だからこそ今ここにいるのだろうと自分を納得させている。

今回訪れた場所

モロッコ:カサブランカ、マラケシュ、ラバト、フェズ、タンジェ
スペイン:アルヘシラス、ミハス、グラナダ、コルドバ、セビリア、マドリード、トレド、バルセロナ
ポルトガル:リスボン、シントラ
ベルギー:ブリュッセル

ペルーパンデミック356日目

ペルー保健省発表3月4日COVID-19関連国内統計

  • 感染者数累計 1358294人(前日比+8447)
  • 死者数累計 47491人(+185)
  • 既検査数累計 7812832件(+55656)
  • 陽性率 17.39%↓
  • 死亡率 3.496%↓
  • 入院患者数 14793人(-46)
  • 上記の内ICU患者数 2149人(-27)
  • 回復患者数 1262722人(+14080)

直近一週間の一日当り感染者数推移(カッコ内は死者数)

  • 3月4日 8447人(185)
  • 3月3日 4878人(217)
  • 3月2日 6672人(195)
  • 3月1日 5358人(209)
  • 2月28日 3134人(191) 
  • 2月27日 5942人(195)
  • 2月26日 7500人(205)
  • 直近7日間平均 5990.1人↑(199.6↓)
  • 直近7日間の陽性率 12.95%↑ ※累計比
  • 直近7日間の感染者数合計 41931人↑(前日比806↑)
  • 直近7日間の死者数合計 1397人↓(前日比-6↓)

(ソース: MINSA 3月5日)

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