プラ袋禁止の弊害か、それとも単に下々の問題?

新聞配達人のアルトゥーロはテキトウなヤツだ。 配達時間がまちまちで、朝5時台に来ることもあれば、8時を過ぎることも度々ある。サッカーの試合があると特にダメ。こんなに自由な新聞屋は見たことない。

リマに戻った翌日、アルトゥーロのスタンドまで足を運び「明日からまた配達してね」と彼に直接お願いした。もちろん彼は快く了承したが、残念ながら信用はできない。翌朝窓から外を眺めていたら、案の定隣人の新聞は配ったくせに、うちの分を忘れて立ち去ろうとする。「アルトゥーロー!新聞!」「あ、忘れてたー!」あぁ、まったく油断も隙もありゃしない。

新聞配達に関して一時帰国前とその後で大きく違ったのが、新聞を包んでいたプラ袋がなくなったという点だ。当サイトですでにご紹介したが、ペルーではもうすぐ使い捨てプラスチック袋等の規制が始まる。スーパーのプラ袋だけでなく、新聞などの配達物をプラ袋で包むのも禁止だ。ただ長らく雨と無縁だったリマの建物には、郵便ポストがないものが少なくない。そして残念ながら我がアパートには、郵便ポストはおろか、配布物を雨から守るちょっとした屋根もないのだ。

霧雨が降った昨日の朝、「やばい、新聞は!?」と思って外を見たら、ちゃんとプラ袋に入れて敷地内に放り込んであった。よかったー、そうだよなー、いくらプラ袋禁止でも、雨の日に袋なしで配達したらクレームじゃ済まないよー。

今朝もまた霧雨が降っていた。そしてアルトゥーロは来ない。8時を過ぎても来ず、電話をしても応えず。すっかり雨が止んだ9時前になって、やーっと姿を現した。「なんでこんなに遅いの!」「いやー、雨が降ってたから1軒1軒手渡ししててー。でもインターフォン押してもなかなか出てこないから時間がかかっちゃってー」「なんでそんなことしてるの?プラ袋を使えばいいじゃん!」「えー、でもー、ごにょごにょ・・・」

あ、もしかして、そのプラ袋はアルトゥーロの自前なのか?

新聞社がこれまで通り自社のロゴ入りプラ袋を使うと、税金が課税される。だから会社としてはプラ袋を一切提供せず、雨の日は末端の配達人がそれぞれ自分で対応しろと言われたのかもしれない。でも「仕事のために自腹を切るなんて、たとえ1ソルでも嫌だ」というのがペルー人だ。そんなお金を使うくらいなら、時間がかかってもいい・・・と?

もしそういうことなら、これからも雨の日は配達が大幅に遅れるだろう。アルトゥーロにプラ袋をあげてもいいが、公私の区別なく使ってしまうだろう。そのうちあちこちからクレームが出て、「雨の日だけはプラ袋の使用を許可する」とかになるんだろうか?いや、その頃にはもう夏になって、みんな冬の雨のことなんかすっかり忘れちゃうんだよな。

そんなことを思いながらこのブログを書いていたら、「El Comercio紙はプラ袋の代用として、クラフト紙袋を使用する」というニュースを見つけた。環境保護に取り組む姿勢は素晴らしいが、そんな重くてかさ張るものを配達人が使うわけない。だいたいその紙袋で雨露をしのげるのだろうか?今度アルトゥーロに聞いてみなきゃ。

なんとも前時代的なことで悩んでいるなぁと、我ながらアホらしくなる。でもイライラが持続しないのはやっぱりペルーマジックだ。とはいえ雨天の配達問題はまだまだ続きそう。やっぱりちょっとうっとおしい。

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