スーパーに見るペルー的商習慣

チョコレートが買いたくて、近くのスーパ―に出かけた。お目当てのチョコレートは100g入りと300g入りがある。日持ちするものだし300gのほうがお得よね、と手を伸ばしかけてちょっとびっくり。あれ?この値付け、おかしくない?

「大量購入してくれたら、商品単価は下げますよ」は、ごく一般的な商習慣だ。売り手にすれば、まとまった売上が見込める上に在庫もはけるのだから、大量購入はありがたいはず。特にスーパーマーケットのような消費財を販売する業種はなおさらだ。残って廃棄するくらいなら、単価を下げるなどたやすいこと。でも「少量パックだけが割引で、大量パックはお値段据え置き」なんてことがたまにあるから、ペルーは侮れない。

一個人商店だったWongが、スーパーマーケットとしてOvalo Gutiérrezにオープンした1983年以降、リマ新市街を中心にスーパーマーケットが次々に誕生した。幼少のころから近代マーケットが身近だった伝統的富裕層の子弟が成人して、共働き世代となり、「スーパーで週一まとめ買い」という現象を生んだのは21世紀になってから。「毎日必要なものを、必要な分だけ買う」というペルーの伝統的な買い物パターンを大きく変えた彼らは、買い物メモを片手に一週間分をがっつりまとめ買いし、支払いはクレジットカードでさらりと済ます。今では当たり前のように見る光景だが、まだまだ一部の層に限られている。

だから、スーパーで前述のような逆転現象が起きても不思議ではない。たとえ量販店でも、「いっぱい買えるのは金持ちなんだから、ちょっとくらい値段が高くても問題ないよね?」という心理が絶対働かないとはいえないだろう(もともと取れるところから取る国なのだから)。もちろん単に間違いという可能性も大だが、これからもよく値段をチェックせねばとひしひしと思う。

以前、値段から世界が見える! 日本よりこんなに安い国、高い国のペルー編を担当させてもらった。タイトル通り、物やサービスの値段を通じて世界を見ようというものだ。そこで金持ちと庶民の買い物習慣の違いについても触れている。気が向いたらどうぞご一読あれ。