母の日 2015

今年も母の日がやってきた。先日話したタクシー運転手も、「母の日?そりゃもう大変ですよ!妻をあっちに連れてって、母をこっちに連れてって、加えて娘まで(母だ)ってんだから、わたしゃ一体どうすればいいってんですか?」と訴えていた。しかし大変という割には、嫌な顔はしていない。母の日だから仕方がないと、それはそれで受け入れている。こういうところがラテン男の良さである。

家族が集まるイベントだから仕方がないが、住宅街はどこもかしこも路上駐車ばかり。開け放たれた窓からは、笑い声と共に、ニンニクとハーブの何とも言えぬ良い香りが漂ってくる。ボデガで水を買おうとしたら、女主人は遠く離れた家族や友人へのお祝い電話に忙しくて、全然アテンドしてくれなかった。レストランはどこも満席で、予約のない客たちが外にあふれている。これがペルーの母の日だ。

でも私の眼を捉えるのは、どちらかと言うと、こういう物売りの女性たち。日銭で生きる貧しい人たちにとって、イベント日は絶好の商機。とは言え、母の日にすら一日中風船を売って歩く人生に、さぞや思うこともあるだろう。時々眉間にシワを寄せ、やる気のない娘を叱咤している。そのうち、「なにが母の日だ!」と、叫び出したりしないかと心配になる。

その母親が笑顔になった。ちょうど若いカップルが通りかかった時だ。もしかしたら、この若い女性のお腹には新しい命が宿っていて、「セニョリータも来年は母親だね~」「ありがとう。おばさんも母の日おめでとう」なんて会話をしていたのかもしれない。だったらいいな。おばさん、Feliz Día de la Madre!

ニュースによると、一人当たり2~5個のプレゼントを購入し、その総額は50~200ソレスだそうだ。ちなみに3日前でも、リマっ子の9割がまだプレゼントを購入していないという。経済的下位層ほど、当日購入する傾向にあり。だからこそ、おばさんのような商売も成り立つ。

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