ミストゥーラ 2014 覚書き

ラテンアメリカ一のグルメの祭典Mistura (ミストゥーラ)の、今年のチケット販売数は32万1000枚。前年比マイナス15%という低調ぶりだった。APEGA(ペルー美食協会/主催者)は「コスタベルデの道路工事の影響が大きかった」としているか、果たしてそうだろうか。

毎年楽しみにしているイベントだが、「これはちょっと」と思ったのは2012年。商業的な面が強くなるばかりで、当初の「食を通してペルーのすばらしさ、食文化の豊かさを再確認しよう」という国威昂揚感が感じられなくなった。去年から吹きっさらしの海岸コスタベルデに会場を移したが、ただ広いだけで会場設備もアクセスも悪く、また季節がらとにかく寒い。国際イベントとは到底思えない、まったくお粗末な場所だ。

今年のMisturaの参加店舗数は、およそ240店(飲み物の売店も含む)。去年の出店数は定かでないが、パンフレットを見ると約130店。売店を加えても、せいぜい160店くらいだろう。広大な敷地にむやみやたらと店舗がある場合、人は選択しきれず、とりあえず人気店へ足を向ける。例えば毎年、というかリマ中のグルメイベントにはほぼ必ず参加しているCarlos Ramirez(上)は相変わらずの長蛇の列だったが、その隣は閑古鳥。一度こうなると悪循環で、さらに格差が広がってしまう。

ガラガラのお店気の毒すぎるお店の様子。同じような光景はあちこちで見られた。

最近、街ではピンクの「Misturaマーク」を掲げる店が増えてきた。しかしMisturaに参加したからといって、本当に美味しいのかというとそうでもない。ただ箔をつけようと参加した店を、客はしっかり見抜いているということだろう。

「Misturaをよくするための14のポイント」というコラムを見た。クレジットカードが使えるようにしろとか、食券販売へのクレームとか、13ソレスは高すぎるとか、一皿辺りの量が多すぎて色々試せないとか、砂地で靴が汚れるとか、芝生が枯れているとか、トイレをなんとかしろとか、とにかくご尤もな話ばっかりだった。

しかしその内容はグルメイベントとしてのMisturaへの提案であって、Misturaだからこそ、というものではなかった。料理コンクールやカンファレンスなど、未来のシェフを育てる取り組みもなされているが、結局一般客にはどうでもいいことなのだ。

APEGAは「来場者数は招待客や記者、参加者を含め42万人」と発表した。参加者を含めた数字に何の意味があるのだろう。だいたい、それらを足しただけで10万人も増えるはずがない。2012年も「60万人を見込む」と豪語していたが、最終的には確か50万人を切ったはず。

数字を水増しするのはここではよくあることだが、APEGAはこの落ち込みをどう受け止めているのだろう。正しく分析して次に繋げるか、ただひたすら膨張していくか。コスタベルデ会場は区との契約上あと3回は続く。だんだん先の見えないイベントになってきた。もちろん来年も行きます。