チバイを含むコルカ地方の名物と言えば、コンドルと温泉、そしてこのミシン刺繍だ。手編みや手織り、手縫い刺繍といったさまざまな“手”工芸を有するペルーにあって、ミシンと聞くと「なーんだ、機械か」と思う人がいるかもしれない。
しかしコルカのミシン刺繍は、まさに制作者の“手”が生んだ芸術作品。仕上がりを頭に思い浮かべながら、下書きなしに直接模様を縫っていく。細く仕上げたい線はできるだけ縫い目を重ねないように、太く力強く描きたい線はずれない様に何度も針を往復させて。失敗しても簡単にほどけないミシンによる一筆書きは、手縫いよりはるかに集中力を要する。
ちなみに祭り用のポジェラ(スカート)は一着600~700ソレス(約22,000~25,000円)、刺繍がそれほど細かくない普段着的なものでも、上から下まで揃えるとも350~500ソレス(約12,600~18,000円)はすると言う。
店の人は「最近の若い子は伝統衣装を着ない」と嘆いていたが、ジーンズやジャージが10分の1の値段で買えるのだから、それも仕方がないだろう。逆に年配者がみな伝統衣装なのは、若かりし日に活躍した一張羅をリメイクしているのかもしれない。
可愛らしいモフモフのベビーアルパカを見た後に、アルパカステーキを堪能した。申し訳ない、でも美味しかったよ。腹ごなしに周辺を散歩した後、コレクティーボに乗って8年ぶりの「La Calera(ラ・カレラ温泉)」へ!