メトロにて その1

仕事でVilla El Salvadorへ行くことになった。先方に行き方を訪ねたら、「Metroが早い」というのでAngamos駅へ。ちなみに「メトロ」とは、昨年開通したリマの高架式電車のこと。(そのうち高架式じゃない箇所も出てくると思うけど、今のルート1は高架式)

私は無料乗車期間に何度か乗ったきりだったので、今回はチャージ式のカードを新規に買わなければならなかった。

「Venta de tarjeta (カード売り場)」に行くと、窓口が2つ並んであった。駅員に「カードを買いたいんだけど、ここであってる?」と尋ねたら「si」と。でも、私の前に並んでいた人が窓口でDNI(身分証明書)とお金を出したら、窓口のお姉さんは何かを言いながらそれらを突き返していた。

どうやら「新規にカードを作るなら、隣の窓口へ」と言うことらしい。駅員はどっちも同じと言ったが、左右の窓口で業務内容が違うようだ。私はさっと隣の列に移り、前の人がちゃんとカードを購入できているか確かめた。うん、この列は大丈夫らしい。

ただの人員整理の駅員が、窓口の業務内容なんぞ分かっていないのは当たり前。「あんたがここでいいって言ったのに!」なんて言っても仕方がないのですよ、ペルーだから。

なーのーにー。

周囲の出来事に気を配らないというか、無頓着というか、無関心というか、なぜか同じ失敗を繰り返すんだよねぇ、ペルー人たちは。他人のことなんて興味がないから、自分の番が来るまでその問題に気付かない。でもって同じように断られて、初めて「なぜだ!」と怒る。

「セニョリータ!俺はずっと並んでいたんだぞ!」「なんでこの国はいつもこうなんだ!」

何十年もここで生きてるのに、なんでイチイチ怒るの?これがこの国の日常ですよ。

その横で、こうした利用者の声をまったく聞いていないお気楽な駅員は、新しく人が来る度に「どっちでもカードは作れますからね~。2列に並んで~。」と誘導し、被害者を出していた。
何度も同じ説明をさせられることに嫌気がさしたのか、窓口のお姉さんは「Cerrado (窓口閉鎖)」のプレートを置いて業務拒否にでた。さすがだ。

目の前で窓口を閉められた客は怒り出し、さっきの駅員に「おい、お前!どういうことだ!この窓口はダメじゃないか!」と詰め寄ったが、そいつは「じゃ、こっちに一列で並んで~」と言いつつ逃げて行った。そんなことをしているうちに、私の後ろには20人くらいの列ができていた。

なんで周囲の様子を観察するってことができないんだろう。ちょっと周りに目を配るだけで、何かあるなって分かるだろうに?そういやペルーのレストランって、ウェイターが何人もいるのに誰も客の視線に気づかないなんてことが多いが、これも同じ遺伝子か。

ちなみに某ニュースによると、「ペルーの学童の読解力は65ヵ国中62位」らしい。文章を読み解く力と、周囲を観察して状況判断する力は共通部分が多いと思う。ということは、これから数年、いや数十年はこの状況は変わらないと思われる。

本当に見ていて飽きない国だ。もう愛おしいくらいおバカだぞ。そしてこの後も、「なんで見ていないんだろう」は続いた。ただ電車に乗るだけで、なんでこんなに楽しいんだろう。

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