プエルトマルドナード プロローグ

5月20日(月)~25日(土)まで、ペルー南東部のアマゾンの街「Puerto Maldonado/プエルトマルドナード」に行ってきた。航空会社LANの期間限定セールを利用したおかげで、チケットは激安。在住者でよかったなぁと思う瞬間。

マードレ・デ・ディオス州の州都プエルト・マルドナードは、前人未到の地であったこの一帯を探検した19世紀の探検家Faustino Maldonado Ruizの成功を称え、現在の名に改名されたが、それ以前は「Amaru Mayo/アマル・マヨ」と呼ばれていた。アマルはケチュア語で「蛇」、マヨは「川」。当時の人々にとってどれほど近寄りがたい場所であったのかをよく表している。

リマを発った飛行機は、まずアンデスの街クスコへ。そこで1時間ほど機内で待機、それからプエルトマルドナードへと向かう。満席だったのもクスコまで。そこから先に行く人はさほど多くない。客室乗務員に断わって前列窓際の座席へ移動し、景色の変化を楽しむ。

クスコを発った飛行機は数分後、標高6384mの神峰アウンサンガテの上空を超える。雪の白さがなんとも神々しい。その麓は枯れた藁のようなうっすらとした緑色に染まっている。これらはイチュと呼ばれるイネ科植物だ。富士山より遥か上空に大草原が広がっているというのは、何度見ても面白い。ペルーの山岳地帯は、決して「草木も生えぬ荒涼たる大地」ではないのだ。その証拠によく目を凝らすと、小さな集落やリャマやアルパカなどの家畜の寝床となる石造りの囲いが点在しているのが見える。リャマに荷物を載せて隣村まで運ぶのだろう、山の稜線に沿ってジグザグの細い道がどこまでも続いている。その頼りない線を目でずっと追っていくのは、私にとってまったく飽きのこない作業だ。

そのわずか10分後、大地は濃い緑色に覆われた。アマゾン地帯に入ったのだ。アンデスに端を発した小さな川が集まって、少しずつ大きな河を形成していく。まるで茶色い蛇のよう。これは何という河だろうか。リマとプエルトマルドナードの緯度は共に南緯12度台。東へほぼ真横に移動する形だ。海岸部から山岳部、そしてアマゾンの距離や位置関係がよく分かるなかなか楽しいフライトだった。

さて地理的なお話はここまで。午後1時すぎ、南国のプエルトマルドナードに到着した。今回のお宿は「Wasai/ワサイ」。ここはプエルトマルドナードの街に「Wasai Maldonado Eco Lodge(WMEL)」を、タンボパタ国立保護地区に「Wasai Tambopata Lodge(WTL)」を所有している。タンボパタ国立保護地区内には11のロッジがあるそうで、ジャングルの中にも関わらず、電気もお湯も不自由しない高級ロッジもある(もちろんお値段も超高級)。

私がWTLを選んだのは、トリップアドバイザーの「トラベラーズチョイス2013」でペルーのオススメホテル25に選ばれていたから。ただ、その口コミからここがよさそうなことは十分分かったが、なぜタンボパタで一番なのかは、この時は正直分からなかった。予約メールのやり取りは、とてもスムーズだったけどね。でもこのメールがまたクセモノだったんだ…。

とりあえず、WMELにチェックイン。本当はこの日からWTLに行きたかったのだけど、上記サイトによると、私が選んだ「WTL3泊4日プラン」は、プエルトマルドナードの町を朝出発することになっていた。フライトの都合上、町に前泊せざるを得ない。もっと安い宿でもよかったが、そこは同系列のほうがいいだろうとWMELにした。マードレ・デ・ディオス川を臨むエコロッジ。アルマス広場からすぐなのに、野鳥もたくさんいるしいい感じ。お昼ご飯を食べようと、フロントの女性ミラにオススメの店を聞いた。「地元料理を食べたい」という私に、歩いてすぐのレストランを紹介してくれたが、行ってみたらただのセビチェリアだった。うーん、やられた。でも今回の旅のラッキーは、すでにここから始まっていた。偶然ながら、私にとってすごく貴重な情報を入手することができたのだから。さすが「Madre de Dios」、聖母がまします美しき地。

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