ペルー版 トイレの神様

先日、あるお方とあるお店で食事をした。場所は敢えて伏せておこう。日本人はあんまり行かないような場所なのでお知らせしても・・・と思うし。

事前に、「トイレに面白いものがあるから」と伺っていたので、ティッシュとカメラを持っていざ奥へ。手を洗い、万が一に備えてイレの蓋を閉め準備完了。さて、例のものはどこかな?

そこで天井の焦げ跡を発見。なんちゃって工事が横行するペルーでは、水漏れが原因でペンキがでこんな風に剥げることなどまったくもって珍しくない。しかしコンロ周りならいざ知らず、トイレで焦げ跡というのはこれ如何に。しかもちゃんと生花が供えられている。ああ、きっとここだな。さてと、ご対面しますか・・・

じゃ~ん、髑髏さま~!

店のおばちゃん曰く、「40年前、ここ(土地と建物)を買った時にはもうあったんだよ。どこの誰だか知らんけど、まあもともとあったんだから祀っておこうと思ってね。」とのんびりした返事が。いやー、「あったから」って、普通は気持ち悪がって処分するんじゃない?(苦笑)

ペルー、特にアンデス地方では、今でもミイラ信仰が息づいている。インカ時代、死者はミイラとなって生き続けると考えられており、特に王のミイラは神聖視された。王はミイラとなっても自分の土地や財宝を所有し続け、残された家族や家臣たちがそれを守った。新王が先王の領地を譲り受けることはなく、そのため自分の力で新しい領土を手に入れなければならなかった。

こうした習慣がインカの驚異的な領土拡大に繋がった訳だけど、逆を言えば、わずか100年あまりでスペイン人に滅ぼされていなかったら、今頃は南米大陸全域がインカ帝国の支配下にあったかもしれない・・・なんて考えるとちょっとゾクゾクしてしまう。

スペインによってカトリックが伝えられると、そうしたミイラ信仰は異端扱いされ、徹底的に排除された。しかし祖先の霊を守りたい、守られたいという思いは人々の心の奥に根付いている。

アンデスといっても、町中ではミイラや髑髏を飾った家などまず目にしないが、観光客が足を踏み込むことなどない山村にまで行けば、きっとそうした家も残っているだろう。それがリマのこんなところで拝めてしまったのだから、なんというかラッキーだ。(店のおばちゃん一家とは全く関係ない人の髑髏だけどね)

「この髑髏が店を守ってくれてるんだね~」と言ったら、おばちゃんも笑ってた。今度また連れて行ってもらえたら、この誰か分からない髑髏さまにお賽銭でも置いてこようと思ったりしている。

“ペルー版 トイレの神様” への4件の返信

  1. こんにちは。
    こういう異国の文化を知ることは大切ですね。
    『日本人はあんまり行かないような場所』というのは、
    地区ということでしょうか、それとも、その「場所」
    そのものなのでしょうか。何か、興味をそそられます。
    私の場合は、貧乏人なので、『日本人が行くような場所』
    へは、行けない(行くだけの資力がない)でいます(笑)。

  2. こんばんは。この場合は「地区」です。その「地区」の割には普通の場所でしたが、それでも注意は必要という具合の。『日本人が行くような場所』は美味しいけれどやはり高いですもんね(苦笑) あー、お金が降ってこないかしら?

  3. ……おおぅ。
    思わず画像クリックしてぎょっ。正真正銘モノホンの骸骨さん!
    招き猫よかご利益ありそう…でも知らんと電気つけてギエ~ッ!とやってまいそう。日本人ならね(笑)

  4. はは、確かにご利益ありそうだよね~。疎かにしたら祟られそうだけど。でも大丈夫、とても高い位置にあるので、普通はあることも気づかないよ(事前に教えてもらっていたけど、それでも「どこだろう?」って探したくらいだし)。でもさ、上から「見られ」ながら用を足すってなんか微妙。もう眼球はないんだけどさ(苦笑)

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