移民局での小さなできごと

もう2週間も前のことだけど・・・

1月初めに、移民局に行ってきた。C/E (外国人登録証)の裏にシールを貼ってもらうためだ。ペルーに暮らす外国人居住者は、年額20米ドルの税金を払わなければならない。去年まではこれに加え、ビザの更新にあれこれと経費がかかったが永住権を取得した今は、そんなわずらわしいことからすべて解放された。ホント、ありがたいこっちゃ。

事前にBanco de la Nación (ペルー国立銀行)で20ドルを払い、その証明を持って移民局の窓口に行くと、係員がシールを貼ってくれる。国中のどの国立銀行でも払えるが、国中のどの国立銀行も常に人で溢れている。移民局の中にも窓口があるが、ここだっていつも長蛇の列だ。

「並ぶ」ことの代名詞とも言えるペルー国立銀行。どっちにしてもすごく待たされるんだろうなぁ、面倒くさいなぁと思っていたら、ある日、友達が最寄りの国立銀行から電話してきてくれた。「どうせ私も払わなきゃいけないし、私には子供がいるからさ」と言うのだ。

ペルーではお年寄りや障害者、妊婦、小さな子供を持つ親はすべて「Preferencia (プレフェレンシア/優先)」だ。若くもないが年寄りでもなく、ましてやむちむちと逞しい私が並ぶより、
彼女+お子のほうが数倍早くアテンドされることは確か。私は彼女の好意に甘えさせてもらった。これまたホント、ありがたいこっちゃ。

後日、支払い証明を持って移民局へ向かった。早めに到着したので、私の前に並んでいたのは5人ほどだった。これなら手続きもあっという間に済むだろう。前述の友達も少し遅れてやってきたので、私たちは近くに座っておしゃべりしながら待っていた。

すると、私の前に並んでいた若い男性がやってきて友達にこう言った。「セニョーラ、あなたは子供を連れてるんだから優先です。あっちに優先席がありますよ。」

なんて親切なんだろう!普通、自分の順番が遅れるであろうことなんてしないよね?

でもまあ今の状況なら、たぶんそんなに待たされることもないだろう。ということで親切なお兄さんにお礼を言い、私たちはそのまま一緒におしゃべりを続けた。

しばらくしてやっと窓口が開き、業務が開始された。一般ラインに並んでいた友達+お子を見た女性係員が、優先ラインに行くようにと彼女に告げた。友達が「彼女たちも一緒に」と言ってくれたけど、それはダメと言われてしまった。「優先席/ライン」は「優先されるべき人のため」のもの。うむ、正しい判断。

この係員は妙に徹底していて、優先される権利はあるが、

自らの意志で一般ラインに並んでいる人をも無理やり連行していった。

(係)「セニョール、あなたはあちらの優先ラインに並んで下さい」
(男)「いや、お嬢さん、私なら大丈夫ですよ。ここで結構です」
(係)「いえ、ダメです。あなたは優先です。はい、あっちへ!」

みたいな(笑)

お年寄り、子連れ、足の悪い人、みんな優先、いいこった。その代わり、一般の列はあっという間に100人くらい並んでたけど。

その後も「優先されるべき人」が来るたびに、その係員によって優先ラインに拉致されていった。中にはすでに子供が随分と大きいにも関わらず、「私たちは当然優先よね」みたいな親子もいたけれど、みんな、あまりそういうのを気にする様子はない。自分たちが待たされるのはあくまでも移民局の対応の問題であって、優先されるべき人たちが原因ではないからだ。

人間、生まれた時から死ぬその瞬間まで、誰もが日々歳を取っていく。その途中には小さな子供だった時代があり、また小さな子供を抱える親であった時代もあり。誰もがどこかのタイミングで「Preferencia」になるのだ。今はたまたまその時でないだけ。

こういう風景を見ていると、「ここだったら歳とっても安心かな」って思える。色んな問題はあるけれど、でもやっぱりペルーはいいなぁって思う。

どこぞの国の人たち、こんな単純な、そしてこんなに大切なことを忘れてはいませんか?必ずその時がくるんです。その流れを止めることなんて、誰もできない。

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「心のバリアフリー」 こちらの原稿もよかったらどうぞ~♪★

 

“移民局での小さなできごと” への2件の返信

  1. > どこぞの国の人たち、こんな単純な、そしてこんなに大切なことを忘れてはいませんか?
    はい……
    おっしゃる通りです…… (ーー;)
    最近は  “早く死んだ方が良いかも”  と思ったりします。 (^_^;)
    弱肉強食を放置する国になるとは思わなかったです……

  2. いやいや!なんてことを!!(汗) そんなこと考えちゃダメですよー。生きてこそ、ってもんです。ちなみに、けいこさんはまだまだペルーではpreferenciaに入りません♪頑張りましょ~♪

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