フェルナンド・イワサキ

ペルーの異端審問

年末年始に一時帰国していた方にお願いして取り寄せた一冊の本。「ペルーの異端審問」、フェルナンド・イワサキの作だ。

フェルナンド・イワサキ氏は、1961年6月生まれの55歳。ペルーを代表する小説家・エッセイスト・評論家・歴史家であり、あのノーベル文学賞作家マリオ・バルガス・リョサとも親交が深い。日系三世だが、エクアドルやイタリアの血も混じっているそうだ。ペルーとスペインの二重国籍でスペイン在住、そりゃリョサとも気があうだろう。

年末に「都市としてのリマ」をテーマに原稿を書いた。「諸王の都」と称えられたリマの歴史を紐解くと、必ず出てくるのがカトリック布教と異端審問の話だ。網野哲哉先生の「インカとスペイン 帝国の交錯」にも、その理解しがたい時代について詳細に記されている。まったく、当時のスペイン人はどこまで傲慢だったのか。今でもたまに「この人はチーノやチョロを人間と思ってないんだろうなぁ」というオーラをにじみ出しちゃう白人系ペルー人に出くわすことがあるが、これは教育だろうか、それとも遺伝子レベルでの反応か?

その昔ウシュアイアの刑務所博物館で会ったスペイン人カップルを思い出す。スペイン人侵略者がパタゴニアの先住民を虐殺した歴史に対し、「だって彼らは裸だったんだもの(殺されても仕方がないわ)」と言い放ったあの2人(ついでに「日本はどこの植民地だったっけ?え?なったことないの?」とも聞いてきた)。ペルーの歴史を学ぶほど、当時のスペイン人の不遜さや横柄さ、厚顔さに辟易する。もちろんスペイン人だけではないけどね。私達人間は、500年前と同じ思考で他民族や異宗教者を殺し続けているのだから。

この本は、そんな愚かな人間の悲しいまでに情けない行為を笑い飛ばすことのできる一冊らしい。帯には筒井康隆氏による一言「抱腹絶倒の中世欲情短篇集」とある。一体何が書かれているのか?ふふふ、それは読んでからのお楽しみ。この本を読み終わったら、またセントロの宗教裁判所博物館へ行ってみよう。きっと違った視点であの蝋人形たちを眺めることができるに違いない。