ペンタゴニートでの出来事

理不尽なできごと

日本の友達が運転していた車の横っ腹に、88歳のおばあさんが自転車で突っ込んできたという。友達はまったくスピードを出してなかったし、おばあさんの姿を見て瞬時にハンドルを切った。でもあちらは反射神経が衰えていたのだろう、おばあさんはブレーキすらかけれず、そのまま突進してきたそうだ。

彼女のfbを読む限り、そのおばあさんが100%悪いと思う。しかも「自転車に乗った事がバレたら、介護保険が使えなくなる」とか「ディサービスに通えなくなるから見逃してくれ」とか、なめんなよ!一歩間違えれば、あんたがひっくり返って死んでたかもしれないし、そんなあんたの自転車で歩行者が轢き殺されるかもしれないのだ。自転車ならまだいいが、これが車だったら?考えただけでも恐ろしい。いい加減にしろ、迷惑高齢者!

もう2年ほど前のこと。ペンタゴニートをウォーキング中、自転車に乗った7~8歳の男の子に、後ろから激突されたことがある。その日はちょうどダウン症の子供たちを励ますイベントが行われていて、周囲にはその関係者がたくさんいた。私は余りの痛さに思わず声を上げ、その子を睨み付けた…が、何も言えなかった。だってその子は自分からぶつかったことすら、理解していなかったのだから。

この子に怒っても仕方がない、でも親はどうした、どこにいる?しかし近くに保護者はおらず、見ていた関係者も「子供のしたことだから仕方がないわ」という顔で、誰も取り合ってくれなかった。そうこうしているうちに、その少年は何事もなかったかのように走り去ってしまった。私は指をねん挫し、足には大きな痣ができた。こういうのを、人は「mala suerte(不運)」で片付けるのだろうか。でも私は何も悪くない!

少し進んだところでさっきの少年と、その母親らしい女性を見つけた。「いったい保護者としてどうなんだ!」と詰め寄ってやろうと思ったが、また気が萎えた。その母親の表情が、あまりにも疲れ切っていたからだ。やんちゃ盛りの子供の世話は大変だろう。きかん気な少年なら、なおさらだ。こうしたイベントに参加している時だけが、彼女にとって心安らぐ時間かもしれない。自転車に乗った少年だけが、楽しそうに笑っていたのをよく覚えている。

日本は高齢者による交通事故が増えていて、免許の自主返納を求める声が高まっているそうだ。私も可能なら自主返納したほうが良いと思うが、とても強制できる事ではない。免許を取り上げるとボケるから?いや、日本には自動車なしには生活できないような村が、まだたくさんあるからだ。スーパーも病院も銀行もない村。駅までは遠く、そこまでのバスもない。そんな過疎地に暮らす独居老人がどれくらいいるか、都会暮らしの人は知っているだろうか?そこで免許を取り上げたら、死ねと言うのと同じだ。

まったく理不尽な世の中。老人だってまだまだ運転できる人はいるだろうし、ダウン症の子供だってサイクリングを楽しむ権利はある。あのおばあさんだって、家族に頼れなくて仕方がなかったのかもしれない。でも万が一何かあった時は?誰も幸せになれないね。私の足の痣は今も薄黒く残ったまま。もう痛みは全くないはずなのに、今日はちょっと疼く気がする。