Manto Calendarioと古代技法の復活

先月、ペルー国立考古学人類学歴史学博物館(MNAAHP)で「Manto Calendario/カレンダーマント」が期間限定で展示された。スウェーデン・ヨーテボリの博物館からおよそ80年ぶりに返還された、アンデス文明の秘宝だ。

パラカスの織物「manto calendario」大きさは104×51㎝、技法はanillado(ルーピング)。中核部分の芯を綿で、外をラクダ科動物の毛で包むように1本針で編んでいる。ネコ科動物やコンドル、カエル、鳥、トウモロコシの穂など異なったデザインを四角く囲み、縦4×横8に配列。その全体を小さな異形の神々や動物たちが取り囲んでいるという、なんとも手の込んだ品だ。

ところでこのマント。ペルーのマスコミには「パラカス文化の」と紹介されていたが、実際にはパラカス文化の織の特徴を備えたナスカ期のものだろうと言う話だ。また本当はマントではなく、ニャニャカと呼ばれる頭飾りらしい。何かと情報が錯綜しているが、それはそのうち修正されていくだろう。カレンダーと言いたいのはなんとなくわかる。32という数字をどう捉えるかはさて置き、日々の占いに利用できそうではないか。いずれにせよ2000年前に栄えたナスカの、間違いなく最高傑作に属する貴重な織りを拝見できたことは感に堪えない。

そして今、失われてしまった古代の織りの技法を現代に蘇らせようというプロジェクトが、ペルー通商観光省(Mincetur)の下で進んでいる。その技術を使って、新しい民芸品を創っていこうというのだ。その技の伝道師は、リマ在住の日本人・瀬尾有紀さん。以前、古代織物修復士として取材させてもらったこともあるので、覚えている方もいるかもしれない。

瀬尾さんが復活させようとしているのは前述のanilladoと、anudado(結び節編み)という技法。このanudadoは、当時の祭司クラスのみに許されたであろう特別な頭飾りを作製するために使われた重要技法の一つ。ちなみにこのanudado技法を使ったパラカス期の頭帯を復元できた世界でただ一人の人物は、瀬尾さんのanudadoの師である渡辺敬子さんだそうだ。やっぱり日本人ってすごい!

瀬尾さんは今、リマと地方を往復する日々だそう。現地のおばちゃんたちを相手に教えるのはさぞや骨の折れることだろうが、ぜひ頑張りぬいて頂きたい。私もその作業現場にお邪魔するチャンスを伺っているところである。

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