NIPPONIA PERU 2012/ニッポニア・ペルー2012

11月11日、Teatro Peruano Japonés(日秘文化会館ホール)で開催された、NIPPONIA PERU 2012/ニッポニア・ペルー2012。『島唄』で知られる宮沢和史 (The Boom)。彼がプロデュースを務めるイベント、”NIPPONIA ~世界で愛されるニッポンの歌たち~”その海外初公演だ。

メンバーは日本で活躍する日系アーティスト、DIAMANTESのアルベルト城間/ペルークラウディア大城/アルゼンチンアルマカミニイトのエリック福崎/ペルー

そして多くの在秘日系アーティストたち。

★★★★★★★★★★

コンサートは3時開場、4時開演。早めに到着したので、パンフレットを見ながらのんびり待機。ペルー在住日本人の姿もあちらこちらに見えた。

開始前に「カメラ撮影はご遠慮下さい」というアナウンスが流れた。すると驚いたことに、みな手にしていたカメラをカバンにしまった。この国ではコンサートでの撮影も、それをwebにアップするのも普通。というかまったくもって野放し、好き放題だ。

ここでは肖像権などあってないようなものだし、芸能人側もあまり気にしない。「タダでプロモーションしてくれてる」程度の認識なのだろう。もう本当に自由だ。ペルーで生まれ育った日系人にとってもそれは同じ、いや、それが常識だろう。

なのにちゃんと指示に従った。これがどれほどの驚きかお分かり頂けるだろうか。遠路遥々、日本から来てくれた宮沢さんたちに対する敬意の表れ。日系人社会の団結力の強さを感じる。

ステージの天井からスクリーンが下りてきた。宮沢さんのナレーションで日系移民の歴史が分かりやすく、そして愛情を持って語られていく。(映像にはスペイン語の字幕がついていた)

移民史については多少なりとも学んできたつもりだが、スクリーンで見るそれはやはりインパクトがあった。映像に映る100年前の風景と、先達たちのまっすぐな瞳に惹きつけられた。さあ、コンサートの始まりだ!

トップは『風になりたい』。ステージの4人に向かって、会場から大きな拍手が送られた。

続いて『移民小唄』。沖縄は多くの移民を世界に送りだしてきた、いわば移民県だ。どれだけの別れが繰り返され、悲しみが生まれたことだろう。宮沢さんが「沖縄民謡の歌詞をひも解いて行くと、移民の歴史がわかる」と言っていたがまさにその通り。

引き裂かれんばかりの胸の内をひとつひとつの言葉に託し、三線を弾き語るしかなかった当時の人たちの背中が目に浮かぶ。

次からは、NIPPONIAメンバーが一人ずつ歌った。

まずはエリックから。日本の演歌が大好きだというエリック。彼が歌った『望郷じょんがら』は素晴らしい!心から演歌を愛してるんだなぁというのが、ひしひしと伝わってくる。清々しい歌いっぷり、気持ちいい。

次はクラウディア。彼女の歌声はまるで沖縄の青空のように澄んでいた。南風を受けて、どこまでも高く舞い上がる小鳥を連想させる。繊細で透明で、しなやかで力強い。私は古謝美佐子が好きなんだけど、彼女もあんな歌い手になったらいいなぁ。

お次はアルベルト。「ああ、この人は本当に歌うことが好きなんだな」と、「歌がこの人をこんなにも幸せにするんだな」と、なんだか胸が熱くなった。ディアマンテスや彼の歌は多少なりとも知っていたが、彼が周囲をこんなにも楽しい気持ちにさせるオーラの持ち主だったとはまったく知らなかった。なんだろう、この人。すごい。彼らのライブに行きたい。

そして宮沢さんの登場だ。

宮沢さんは歌の合間に色んな想いを語ってくれた。日系社会への想い、ニッポンの歌への想い。包容力のある落ち着いた声と優しいなまなざしが、会場を温かい空気で満たしていった。

いいなと思ったのが、私の前に座っていたお父さんとお母さん、そして娘と思われる3人組。両親は二世か三世なのだろう、どうやら日本語が苦手な様子。しかし娘は日本語が堪能で、宮沢さんの言葉を母親に逐一通訳していた様子がとても微笑ましかった。

宮沢さんが会場に向かって「みなさん、楽しんでいただけてますでしょうか?」と語りかける度に、後ろにまで聞こえるほどの大きな声で、「ハイッ!」と答えていた娘さん。背筋を伸ばしてお腹に力を入れて、大きな声で心を込めて。こういう真面目さ、礼儀正しさはすごく日系的。どうか彼女の声が宮沢さんに届いていますように。

最後はメンバー4人に宗彦(アルマカミニイト)や在秘日系メンバーも加わって、大いに盛り上がった。割れんばかりの拍手とともに「otro! otro! 」という声が会場に響いていたが、それが次第に日本語の「アンコール!アンコール!」へと変わったのが興味深い。

「宮沢さんたちに『オトロ(別の/ペルー的にはこれが”アンコール” )』じゃわからんべ」と思ったじじ・ばばがいたのだろう。彼らは本当に優しいのだ。中には「オトロ!クンビア!」と超ペルー的な掛け声をかけていたおじじもいたけどね(苦笑)

ほぼ3時間に及んだコンサートは、こうして無事その幕を下ろした。会場を出てからも、あちこちで「いいコンサートだったね」という声が聞かれ嬉しくなった。テアトロを出る前にもう一度ステージのほうを振り返ると、このNIPPINIA PERUを実現させるために数ヶ月間、いやもっと前から携わってきたであろうスタッフたちがいつまでもいつまでも熱い抱擁を交わしていた。

彼らにも心からの拍手を送りたい。”NIPPONIA ~世界で愛されるニッポンの歌たち~”初の海外公演は大成功だった。

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“NIPPONIA PERU 2012/ニッポニア・ペルー2012” への12件の返信

  1. いや~ん読んでるだけで泣けてきちゃった!鼻がつぅんとなったままなんですが?!
    わずかな間とは言え、日系の方々ともご一緒したからこの光景、すごくよく分かる。もっとも「日本人て素晴らしい」と思えるのが在外ってのも皮肉なものですが。
    いやいやきっと内地もきっとまだ捨てたもんじゃないに違い…ない…
    たとえ全体として見たらダメダメでもね。

  2. そうそう、外に出て初めてわかる日本のよさよ。日本にいると基本的レベルが高過ぎて、だからこそ相手にそれ以上を求めてイライラしちゃうんだろうね。墓穴ほってるって感じがする。もっと気楽にさぁ、楽に生きれたらいいのにね。日系社会って独特だけど、教えられることも多いです。

  3. 読んでるだけで、とても感動しました!
    実際のコンサート会場にいたら、どれほど感動したことでしょう♪
    海外在住の友達が何人もいますが、やはり皆さん同じように日本の素晴らしさを口にされますね…日本に住んでいる者として恥ずかしくなります^^;

  4. ひろりんさん、本当に楽しかったですよ!移民史に興味があるから、よけいかもしれません。ナレーションもとてもよかったです。でも日系人が「日本が素晴らしい」という度に、私も「でも今は問題だらけで昔とは全然違うよ」と戸惑いを感じます。ちょっと残念です。。。

  5. 初めまして。NIPPONIAで検索、HITしておじゃましました。
    私は宮沢さんのファンで、2010年夏に神奈川県の逗子で開催された
    NIPPONIAコンサートへ行きました。
    そこで出会ったエリックが、「アルマカミニイト」として
    今年日本でデビューしたのを機に応援しはじめて、
    今では宮沢さん以上に彼に惚れこんでいたりします(^^;
    宮沢さん、本当にていねいにNIPPONIAライブを
    作り上げていますよね。
    2年前、私が見たライブでもそう思いました。
    今回は遠く日本から、FBを始めとするタイムリーな
    情報や動画を見ることができて、
    遠くペルーに思いをはせながら想像していました。
    ステキなレポを、ありがとうございました。

  6. はじめまして…Keikoさん^^
    Nipponiaの、詳細レポをありがとうございます。
    本当に心のこもったコンサートだったのですね。。。
    シンプルな言葉の中に、その雰囲気が伝わります。
     私は、アルマカミニイトのFANです。
    Ericにとっては、3年ぶりの帰国でありNipponiaは念願の
    凱旋ライブでした。FANもまた、この日が実現することを
    祈っていましたので私たちにとっても喜びの日でした。
     彼らは、この機会にクスコ・マチュピチュにも訪れて
    います。Ericも初めて訪れたようですがより一層ペルー
    を誇りに思いペルーの人々を含めより愛する気持ちを深めた
    ようです。
     PERUのことを知りたい…そんな思いでいます。
    楽しみにこのBlogを見せて頂きます。
     ご存知かと思いますが…Nipponiaのあと訪れたクスコなど
    アルマの旅行記ばりの大量な写真などありますので紹介させて
    下さい^^http://www.facebook.com/almakaminiito
       

  7. コメントありがとうございます!ファンの方にそう言って頂けて本当にうれしいです♪ エリックはこちらのコンサートでも本当に楽しそうに歌っていましたよ!ステージの面々が楽しんでいるのが客席に伝わってくるので、こっちも更に楽しくなる!というよい相乗効果があったように思います。ペルーの日系人は歴史的理由から日本語が分からない方も多いし、それに今回のお客さんの平均年齢は相当高かったと思いますが、そんなこと関係なく、みんなで一つになれた素敵なコンサートでした♪

  8. こちらこそはじめまして!コメントありがとうございます。エリックにとってのクスコ旅行は、リマや日系社会とはまったく違う文化に触れるいい機会になったようですね。日本とペルーの両方あっての日系ペルー人。この国を知ることは、彼にとって必要不可欠なことだと思います。きっとこれからの活動にもっと幅がでてくることでしょう!facebookのリンク、ありがとうございます♪他のリンク先からちらりと見ただけなので、ゆっくり拝見させて頂きますね~!

  9. まるでその会場にいた様な気持ちになりました!
    宮沢さんは日本人でありながら、思いっきり日系人を愛してくれる。
    そして、アルベルト、クラゥディアやエリックは逆に日系人でありながら、日本を愛している。同じ日系人として彼らを誇りに思う。
    今、日本では「国際交流」とか「多文化共生」とか「国際理解」とか、そんな言葉がやたらと流行っているけど・・・こういう事が本当の意味での交流だと思う。心で感じる事。心が通じる事。
    歌には国境がない、と言うけど、本当だよね。彼らの歌でペルーの人々が感動した。本当に素敵な事だよね。
    日本にいながらずっと彼らのコンサートに行けない私としては慶子ちゃんが非常に羨ましい!(5年前に行ってくれればよかったのに・・・って思ったりしてる!笑)
    そして、こうやって彼らの素晴らしい活動、そしてペルーの人々の感動を私達に伝えてくれる慶子ちゃんも、凄いなぁ!流石、私のアミーガ(笑)。素敵なレポートをありがとう!
    ところで、アルベルトはGambatteando歌った?私は今日も車で通勤中に大声で歌ったぞ~!Sí!!(笑)

  10. エリサさん♪ありがとうございます。本当にいいコンサートでしたよ。心温まるとはこのことでした。ちょっとだけ仕事でかませて頂いたこともあり、その成功は私にとってもとても重要なことでした。だからコンサートが終わった後、ばーちゃんたちが「よかったねぇ」と言っていたのは本当にうれしくなりましたよ。国際交流って本当は何にも難しくないんですよね。どんな小さなことでもいいんだと思います。人の心が動かされれば、それが記憶に残ればいいのではと。難しいことを理解する前に「好き」と思えることが大切なんだと思います。ところで、Gambatteandoはありませんでした。残念!でもとってもいい曲なので、またサイトでご紹介します。日本の皆さんにも知ってもらいたい歌ですよね!

  11. 本当に感動できたコンサートでしたね。
    日系移民の歴史についてもわかりやすく落ち着いたナレーションで心に深く刻まれました。
    以前から熱望していた琉球太鼓メンバーとのコラボも非常に良かった。
    来年も是非やってほしいコンサートです。

  12. BUCHIさま、コメントありがとうございます。ラストの琉球太鼓とのコラボ、あれは本当によかったですね!あの時はまだ気候的には暑くはなかったけど、会場は本当に熱気に包まれていましたよね。毎年の恒例イベントになるといいなぁって私も思います。

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