傍若無人と唯唯諾諾

某ショッピングセンターの中庭に、なぜか知らんが一台のベンツが入り込んできた。

そこは買い物客が行きかう場所で、当然車両は通行禁止。歩行者が思わず飛び退くような場所に、それは停まったのだ。

最初は「もしかして駐車場への道を間違えたのか?」と思った。しかしその車はすぐ移動するどころか、運転していた白人女が降りてきて、自分の荷物を降ろしたり男友達(だんな?)とハグしたりと、傍若無人の振る舞いを見せていたのだ。

いや、あんた。そこはあんたの庭じゃないでしょ?っていうか、なんでそう堂々と図々しさをさらけ出しているのさ。

周囲のペルー人は遠巻きに見るだけで、誰も彼女を注意しない。どう考えてもそこに車が入ってくるのはおかしいのに、しかも申し訳なさそうなそぶりなど一切なく、男といちゃついているのに、それでも従業員はおろか警備員も来ないのだ。

赤ちゃん連れや老人がその車を避けて通るために苦労していても彼らは自分たちが悪いなどとこれっぽっちも思っていない。そして周囲のペルー人たちも、ただただ遠くから彼らの行動を見守るだけ。もし一般的なペルー人(メスティソ)やチニート(東洋系・含む日本人)だったらすぐさま警備員が飛んできただろう。

公道じゃないから罰金は取られないだろうけど、それでも「おい、お前!ここは駐車場じゃないんだ、すぐどけろ!」と怒鳴っただろう。歩行者だって通りすがりに文句の1つや2つ言っただろう。でも誰も何も言わない。それは彼女(と同乗者たち)が明らかに超のつく富裕層だからだ。

こう言う時、「あぁ、この国はやっぱり階層社会なんだな」と思う。富裕層と貧困層、支配する側とされる側。上には逆らわないほうがいい。関わらないほうが無難だという意識が、遺伝子レベルで組み込まれている。

ペルーの歴史を振り返ると、そうしてしまうことを簡単には非難できない。いかに搾取され、虐げられてきたか。それを思う時、わざわざ自分から面倒な状況を作る気にならないのは当然だと思う。でもね、あからさま過ぎてどっちに対しても不快になる。

我が儘が許されるからそう振る舞うし、許したほうが楽だから許してしまうし。一緒にいた友達が、その女の履いていた15cmくらいのヒールを見て「ほら、あれで車を運転しようという時点で、あの女は終わってるよね」と言った。まさにその通り。

好き勝手な振る舞いを見せたそのベンツ御一行さまは、自分たちが中庭から出るために歩行者に向かってクラクションを鳴らしまくり、笑いながら去っていった。車がいなくなってから、警備員がやってきた。

“傍若無人と唯唯諾諾” への4件の返信

  1. いや~~,偏見と言われそうですが,日本でも  ベンツ  のオーナーは失礼な運転をする方が多い,というのが,私個人,の印象です。
    若い頃からの印象の積み重ね?で,どんなにお金があってもベンツは買いたくないな~~,と思ってます。
    どこの国でもそういうオーナーが目に付くとは知りませんでした。(^_^;)

  2. そっかー、日本でもそんな印象があるんですねぇ・・・。私は車に疎いから車種でなんとかというのはないんですが、今回は乗っていた人物と車があっていたので、やっている行い以上に我が儘が過ぎる印象を受けてしまいました。

  3. ベンツって日本でも傍若無人ぶりを発揮することありますよ~。
    見ていて気分のいいものではないですね。
    貧乏人の僻みかなぁ~^^

  4. いえいえ、金持ちだからってしていいことと悪いことは一般の人と同じですからね~。車種が悪い訳じゃないけど、人の傲慢さを助長する気がします。逆に知性があってエレガントな人がベンツに乗っても「さすが」となるんでしょうが・・・難しいですね。

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